国の予算は、新しい支出に対して厳しく「恒久的財源」を求めるが、財源の問題はどうか。一人月5万円のベーシックインカムだとすると、年間に必要な財源は約75兆円だ。これは、巨額に見えるかも知れないが、現在の社会保障給付は既に年間約90兆円ある。年金、雇用保険などで既に負担している保険料も含めて税金に置き換えてベーシックインカムの財源とすることができれば、健康保険など医療関係の支出約30兆円を除外して、追加財源は15兆円程度で実施可能だ。消費税で賄うなら、5%程度の税率引き上げでいい。また、税金を払う人もベーシックインカムを受け取るので、お金の出入りに重複があり、見かけほど負担が増えるわけではないから、規模的には月5万円以上のベーシックインカムも実現可能だろう。

 傾向として、社会運動としてベーシックインカムに取り組む方は一人に月10万円〜15万円くらいの大きめの額を提唱する傾向があり、市場経済を重視する論者は月5万円〜8万円くらいの金額を推すことが多いが、どちらの場合でもベーシックインカムは次に述べるような長所を持っている。

ベーシックインカムの長所

(1) 手続きが簡単で、先の生活が計算できる「シンプルさ」

 たとえば、現在の年金制度は一般人が全貌を理解することが困難なほどに複雑であり、その複雑さが制度不信の一因でもある。また、生活保護は受給のための手続きが面倒であり、申請しても本当に貰えるかどうか心配だ。この点、ベーシックインカムは単純だ。

(2) 受益者に偏りが少ない「公平さ」

 公共事業による富の再配分は、特定の地方、業界などにメリットが偏るが、ベーシックインカムは国民全体が均等にメリットを受ける。もちろん、納税額には差があるから、税制を公平なものにする必要があるが、支出面での公平さはベーシックインカムが突出している。

(3) 使い道や、資源配分に関して、政府の介入が少ない「自由さ」

 生活保護だと、貯金が一定額以上持てなかったり、暮らし方にも条件が付いたりする。また、旧来の公共事業や補助金への公的支出は政府が資源配分に積極的に関わるので、必ずしも資源配分上効率的ではない。この点、ベーシックインカムは使途に制限がないので、個々の国民が真に必要だと思うものに支出できる。市場による資源配分がどのくらい有効に働くかという問題は残るが、ベーシックインカムは自由主義経済的だ。

 尚、一定の税率で且つ所得が完全に補足される場合、ベーシックインカムは、ミルトン・フリードマンらが提唱した「負の所得税」と同じ所得配分効果を持つことが知られている(簡単に確認できる)。