離職者の22%は「1ヵ月未満」で辞めている!?

しかし、人手不足に悩んでいる店長ほど、早期離職の食い止めに意識が向かっていません。まずはこの“出血”を止めることから、すべての出口対策ははじまります。

まずは、この早期離職の実像をつかんでおくことにしましょう。「かつてアルバイトをしていたけれど辞めてしまった」という人に、「どれくらいの期間で離職したのか?」を尋ねてみました。その結果が下の図です。

■1ヵ月未満で離職した人の割合(性別・属性別)

じつに離職者全体の約22%が1ヵ月未満で辞めています。属性別に見ると、早期離職率がいちばん高かったのは高校生(29.3%)、いちばん低かったのは主婦(17.5%)でした。つまり、高校生バイトの3割は1ヵ月未満で仕事を辞めてしまうということです。

しかし、これだけで「学生はすぐ辞める」などと言い切ることはできません。というのも、もともと高校生は春休みや夏休みの期間限定でアルバイトをするケースが多いからです。大学生ほか(短大・大学・専門学校生など)についても同様の理由で、数字が高く出ている可能性を考慮するべきでしょう。

そもそも、最初から「すぐ辞めることになっても仕方ない」と考えているアルバイトは多くありません。つまり、早期離職は職場にとってだけでなく、スタッフ当人にとってもハッピーとは言えない出来事なのです。

実際、多くの人がアルバイト仕事を探すうえでは「安定して長く働き続けられそうかどうか」を重視していることがわかっています。下のデータを見てください。これは「仕事についての考え方」を調査した結果です。

■「長く続ける」重視か、「いろいろ経験」重視か

このとおり、全体としては6割以上が「1つの仕事を長く続けたい」と考えています。10代に限って言えば、経験が少ない分、「いろいろな仕事をしてみたい」という気持ちのほうが強く出ていますが、やはり最初からすぐ辞めるつもりでアルバイトをはじめる人は決して多くないのです。店長としても、この気持ちに「育成」で応えていかなければなりません。

ある外食チェーンの店長のYさんは、求人の方針について「横綱以外は誰でも採用します!」という言葉を語っていました。これは「応募してくれた人は全員採用する」という意味ですが、なぜここまで大胆なことを言い切れるのでしょうか?これに対し、Yさんはこう答えていました。

「ウチに入ったアルバイトは、全員、必ず一人前に育てる覚悟と自信があるからです」

実際、Yさんのお店のアルバイトの定着率の高さは群を抜いていました。どんな人が応募してくるかは、店長にとってコントロールしづらい事柄ですが、入社に至ったアルバイトが長続きするかどうかは、店長の工夫次第でかなり下支えできるということでしょう。