(スタッフ)「店長、こないだ内定を出した新人さんからお電話ですよ」
(店長)「はい、もしもし…えっ、そうなの? うん、それでは…(ガチャ)」
(スタッフ)「あれ? 何の話だったんですか?」
(店長)「隣のファミレスから内定が出たから、ウチのバイトを辞退したいって…」
最近では「アルバイトの内定辞退」という事態さえ起こるようになってきた。面接をして、後日内定の連絡をすると、「別のところに決まったので…」と、辞退されてしまうケースもあるようだ。アルバイトの内定辞退はなぜ起こるのか? 最新刊『アルバイト・パート[採用・育成]入門』から一部を紹介する。
4人に1人!?
増えるアルバイトの内定辞退
面接をしたところ、「ぜひ働いてほしい!」と思える人だったので、電話して採用を伝えたのに、後日「ほかの店に決まってしまった」と断られてしまう──。昨今ではこんなアルバイトの内定辞退も珍しくないようです。内定辞退といえば、正社員の新卒採用などで起こるものというイメージが一般的でしたが、人手不足が深刻化してきたいま、とうとうアルバイト領域でもかなり普通に見られるようになってきています。
これは調査データにも明確に表れています。面接担当者に聞いたところ、アルバイトの内定辞退率は24%にも上りました(下図)。つまり、忙しい時間を割いて面接をして、「これは!」と思う人に内定を出しても、なんと4人に1人は辞退されてしまうという計算になります。
■同時に何件のアルバイト求人に応募しているか?
なぜここまでアルバイトの内定辞退が増えているのでしょうか? 一因として考えられるのは、複数同時応募の増加です。上の調査データにあるとおり、なんと求職者の4割以上が2企業以上に同時応募していました。
昨今は求人の数・種類も豊富なうえ、スマホなどで簡単にエントリーできる求人サイトも増えていることもあり、以前よりも応募のハードルが低くなっています。その結果、求職者は、複数の職場に応募したうえで、職場の値打ち・魅力を〝比較検討〟するという行動をとるようになっています。