「ほかの選択肢」があると、躊躇なく辞める

早期離職の引き金となる要素はほかにもありそうです。辞める理由をあれこれと尋ねてみたら「じつは、近くの○○でバイトをすることになりまして…」などと言われたことはないでしょうか?

実際、アルバイトの早期離職率は「次の職を見つけやすいかどうか」によっても左右されます。調査によると、周辺の競合するアルバイト先の数が多ければ多いほど、1ヵ月未満で「辞めたい」と考える人の割合も多くなっていました(下図)。

■競合職場数と早期離職への意識

ここからわかるとおり、求人時点だけでなく、採用後にも、ほかの職場との競合関係は続いています。せっかく競争に打ち勝って、優秀なアルバイト人材を獲得できたとしても、新人受け入れに失敗すれば、その新人はほかの職場に流れてしまう可能性があるのです。

データを見てわかるとおり、周囲に競合店が5軒以上ある場合は、競合店がまったくない場合(0軒)に比べて、早期に「辞めたい」と考えた人の割合が2倍以上になっています。アルバイト先が密集していたり、交通の便がよかったりする都心部のほうが、注意が必要だと言えるでしょう。

「すぐ辞めない=不満がない」とは限らない!!

このように、アルバイトが1ヵ月未満で早々に辞めてしまうときには、単に仕事への不満といった理由だけでなく、「次の職場を簡単に探せそうか」というような外部要因も大きく関係しています。裏を返せば、早期離職しなかったからといって、そのスタッフが不満を持っていないかというと、そんなこともないのです。この点をもう少し深掘りしてみましょう。

先ほどの図で見たように、1ヵ月未満での離職率が最も低い属性は「主婦」でした。一方、「入社1ヵ月未満で辞めたいと思いましたか?」という質問をすると、下図のような結果が出ました。

■早期離職を検討した人の割合(性別・属性別)