「焼肉ビビンバ」(写真はイメージ)など4品が発売される。価格は500円弱だ
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 ローソンが1月18日、通常の“青のローソン”で、ついにチルド弁当の全国展開を開始する。

 5度前後のチルド温度帯で管理するチルド弁当は一般的に、20度程度で管理する従来弁当より使用可能な食材の幅が広く、彩りや食感も豊か。消費期限もおよそ2倍以上と長く、廃棄ロスを恐れる加盟店の発注絞り込みによる販売機会ロス削減など、メリットが多い。

 大手チェーンではファミリーマートが2009年9月に、セブン-イレブンが10年2月に全国展開を達成し、両社とも弁当売上高の約2割を占めるまで成長している。同カテゴリー全体の売り上げ拡大にも寄与しており、セブンでは「展開以降、数量、金額共に間違いなく伸びている」という。

 一方、ローソンは“できたて感”のある店内調理にこだわり、その確立に注力していた。現在導入店は36あるが、1店舗当たり1日平均約300食が売れ、店舗売上高は20%以上増えている。しかし店内調理は「物理的な問題などで、すべての店舗には入れられない」(中井一・商品・物流本部長)。導入には時間もかかる。

 そこで、3~5年で約3000店への店内調理の導入を目標に掲げながら、ベンダー(製造供給元)で製造する弁当の品質向上を目指し、チルド弁当の開発にも乗り出した。実験店の弁当売上高も前年比2~3割増と好調だったため、全国展開を決めたという。

 ローソンはコンビニの成長には客層拡大が不可欠と見ており、チルド弁当でも今春、「野菜をもっと取れるような、ナチュラルローソン(美容、健康がコンセプト)で培ったノウハウを生かした」(新浪剛史社長)商品を発売予定だ。

 コンビニにとって、弁当は単価が相対的に高めで粗利益額が取れるうえ、粗利益率も35%前後と悪くない。競争激化のなかでは、ここでの開発力の差がチェーン間の勝敗を左右する一因となる。ローソンは約1年以上も他社に出遅れたことになるが、今回の決断に踏み切ったことは重要な一歩だったといえる。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 新井美江子)

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