何しろ日本の精神科病院の姿は、国際的に見ると異常と言わざるを得ない。精神科病床は35万床ある。世界全体で約175万床だから、世界の20%を日本が占めている。桁外れに多い。各国の精神科病床は1970年代以降、急減しているにもかかわらず、日本だけが一向に減っていないためだ。

 平均在院日数も国際的に見ると孤立している。日本は301日に達している。これに対してデンマークは4日、フランスは6日、アメリカも6.4日である。多い国でも、ドイツが24日、イギリスが48日。とても比べられない状況である。

 それも長期入院が多い。10年以上で6万7000人、20年以上でも3万3000人にのぼる。国際的に見てこんな異常な現象を当然なこととして「長く入院しているから生活がある」と判断してはならないだろう。

受動禁煙対策は“2020年のため”

 この日のヒアリングの前に厚労省は10月、禁煙場所のあり方を3パターンに分けて示していた。最も徹底しているのが(1)敷地内禁煙。次に緩やかなのが(2)建物内禁煙。そして分煙ではないが(3)原則として建物内禁煙で、隔離した喫煙室を設ける。

 その対象は、(1)が未成年者や患者が集まる場所として小、中、高校と医療機関、(2)は官公庁、運動場、大学、社会福祉施設、バス・タクシーの乗り物内、(3)は飲食店などのサービス業、事務所、ビルの共用部、駅、空港、鉄道、船舶とした。

 なぜ、今になって受動喫煙に取り組むのか。2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催を控えているからだ。これまでのオリンピック開催地では、厳しい禁煙措置が取られてきた。

 スポーツは健康増進の目的もあり、「たばこのないオリンピック」は世界保健機構(WHO)と国際オリンピック委員会が推進している。多くの国では、レストランや職場での全面禁煙が法制化され、「スモークフリー」の考え方が浸透している。すべての公共の場所で屋内全面禁煙としている国は2014年時点で49ヵ国ある。「法制度がないのは日本だけ」との批判の声が高まっている。改訂した「たばこ白書」は、WHOによる各国のたばこ対策7項目への評価で日本は「受動喫煙からの保護」など3項目が「最低」で、G7諸国で最悪だったと報告した。

 オリンピック開催地のロンドンでは建物内禁煙、リオデジャネイロは敷地内禁煙にまで踏み込んでいる。2018年の冬季五輪開催地の韓国・平昌では原則建物内禁煙で飲食業は喫煙室設置となっている。

 こうした各地の先例を参考に厚労省が示したのが3パターンのプランである。「ロンドンと平昌のとの混合型」を着地点にしたという。近く受動喫煙防止法としてまとめ来年中には成立を期す。法の中で、違反者には勧告、命令をすることになり、従わなければ罰則を科すと言う。関係業界へのヒヤリングは引き続き実施する。

 受動喫煙の実態ついて厚労省は、3割以上の非喫煙者が1カ月間に飲食店や職場で受動喫煙に遭遇している、としている。また、行政機関や医療機関で受動喫煙に遭遇する人も一定程度いる。