◇ドラフト会議は職業選択の自由を奪っているのか

 現在の制度ではプロ野球選手になるためには、毎年11月に行われるドラフト会議にて球団から指名される必要がある。一般企業では企業側が希望者を試験や面接をする一方で、希望者側もどの企業での採用を希望するか選択の自由がある。しかしプロ野球では、ドラフト会議での指名によって新規採用がなされる。

 選手はその指名に応じるか応じないかの決定権は持つが、自分が球団を希望することはできない。「プロ野球選手になりたい」という職種の希望は保障されているものの、どの球団に入りたいかという自由は大きく制約されているため、職業選択の自由がないという不満や批判もある。ではこの実態は、憲法で規定されている「個人の職業選択の自由」に本当に反することなのだろうか。

 著者の考えでは、「厳密には職業選択の自由に反することであるが、他の要因を考慮すればこの程度は許容の範囲にある」ということである。その根拠は5つあり、1つ目は上に述べたように少なくともプロ野球選手になるという自由は保障されていることが挙げられる。第2には、フリーエージェント制という制度が用意されており、実績を残した選手は他の球団に移ることができる。第3に、ドラフト制度によって球団事の選手の力が平準化すれば、球団の強さが拮抗し試合自体が面白くなる。それによりプロ野球界自体が繁栄すれば自分たちの利益も高くなるので、業界の経済効率性を高めることに協力することは選手として当然である。第4に契約金や年俸額の制限によりドラフトと同じように選手の平準化を図ることはできるが、裏金の温床になりやすいという点が挙げられる。選手の均等化をするならばやはりドラフト制度がよいだろう。そして最後に経済学の見地から考えても、ドラフト制度は容認される制度なのである。というのも一般に機会平等性と経済効率性はトレードオフの関係にあり、ドラフト制度により選手の機会平等性が小さくなる一方で、プロ野球界の経済効率性が高まるからである。

 このようにドラフト制度は選手の職業選択の自由に多少は反するものの、様々なことを考慮すれば容認されてしかるべきといえる。

【必読ポイント!】
◆ プロ野球選手の給料は本当に高いのか
◇プロ野球選手の給料の実態

 プロ野球選手の年俸に関してニュースなどで報道されるのは高額な選手ばかりのため、一般的なサラリーマンからすると憧れの的である。しかしこのように高額な年俸の選手は通常1球団70人中10人以内に限られており、プロ野球選手の中でもかなり少数派である。2015年度に1億円以上の年俸を得ている選手は、最多の巨人で11名、最少のDeNAとヤクルトにおいては2名にすぎない。さらに年俸1億円以上の選手のポジションに注目すると、多くのチームで半数ないし半数以上が投手である。これは、どの球団も登録している70名の中では投手の数が圧倒的に多いことが原因として考えられる。また、試合の勝敗は投手次第と言われることも多いため投手を優遇したいという意向が働きやすいことや、選手寿命がやや短いと言われる投手には高額年俸で報いようという雰囲気がプロ野球界全体にある。