損益計算書と変動損益計算書の違いとは?

変動費は「率」で、固定費は「額」で管理すれば、業績の把握と管理が正確にできる森岡寛(もりおか・ひろし) キャッシュフローマネジメント株式会社/財務マネジメント株式会社 代表取締役 1974年生まれ。高知県高知市出身。実家は製麺業を営む。中学卒業後は高校に進学せず、大検取得後の1995年、近畿大学に進学。近畿大学在学中、会計学研究会に所属し、管理会計の研究に従事。卒業後、会計事務所勤務を経て、2003年起業。起業後は、東京・大阪で中小企業のキャッシュ・フロー改善に特化した財務コンサルティングを展開。現在は「キャッシュフローの専門家」として、講演・執筆・コンサルティング業務に従事する一方、ITツールを活用してワークライフバランスの充実に努めている。妻と子ども2人の4人家族。著書に『マンガで入門!会社の数字が面白いほどわかる本』、『社長のための黒字の教科書』(ともにダイヤモンド社)がある。 http://www.cashflow.co.jp  http://www.zaimu.net

 以上、ご覧いただいたように、会社の原価や経費は、大きく区分すると変動費や固定費に分類できます。

 この原価や経費を変動費と固定費で区分した計算書のことを、変動損益計算書といいます

「率」で業績を管理する場合は、この変動損益計算書を使って業績を把握します。

<変動損益計算書>
(1)  売上高
(2)- 変動費
(3) 限界利益
(4)- 固定費
(5) 経常利益

 この変動損益計算書を使う代表的な計算方法が、「損益分岐点売上高」の算出です。

 これは、会社が損益0になる際の売上高がいくらなのか?いわゆる損益トントンになる数字がいくらなのか?を、利益から逆算して売上高を算出する方法です。

 通常であれば、(1)売上高から(2)変動費を差し引いて(3)限界利益を出し、そこから(4)固定費を差し引いて、(5)経常利益を出す、と考えます。

 ところが変動損益計算書での出発点は、一番下の(5)経常利益からとなります。

 はじめに(5)経常利益に(4)固定費を足して、(3)の限界利益を出す。そして、限界利益を(1-変動費率)で割って、(1)売上高を算出します。

変動費率とは、売上に対する変動費の比率のことです。

 損益分岐点売上高に関しては(5)経常利益を0と設定すると、算出できます。

 このように、変動費と固定費に区分することで、変動費は「率」でチェックし、固定費は「額」で管理するという各々の経費の特徴を捉えることができるため、より正確に業績の把握・管理が可能になります。

 売上が増減すると、利益がどれだけ増減するのか?変動費や固定費がそれぞれ増減すると、利益にどのような影響を与えるのか?

 ご自身の仕事で取り扱う数字についても、一度シミュレーションしてみてください。

 売上から物事を考えるのではなく、利益から物事を考えるという目線の違いも体感できると思います。

※次回は、12月8日(木)に掲載します。