1月28日、菅内閣は2011年度の子ども手当法案を閣議決定した。だが、国と地方の財源負担争いに加えて、野党からの反発は強く、制度存続の期限である3月末までの成立が危ぶまれている。子ども手当への風当たりが強いのはなぜなのか。看板政策として実施にこだわる民主党政権は、どこでボタンをかけ違えたのか。
「銀座四丁目交差点の真上から、福澤諭吉をばらまいているようなものだ。子ども手当は、バラマキ型の大きな政府路線を志向する民主党政権の国家観が表れた象徴的な政策だ」
1月24日、大豆生田(おおまみうだ)実・足利市長は、来年度の子ども手当財源の市負担を拒否し、足利市の同年度予算に計上しない意向を固めた。
大豆生田市長は、35市町村の首長が名を連ねる「現場から国を変える首長の会」の代表を務めており、かねて子ども手当の恒久財源、地方負担問題について追及、2011年度の予算化に際してついに負担拒否の姿勢を明らかにした。
「細川律夫厚生労働大臣ら党幹部による予算修正含みの発言が、あまりに目立つ。年末に策定したばかりの予算案を修正するなど前代未聞のことで、政府が自信を持って原案を提出していない証左だ」(大豆生田市長)と憤る。
地方負担にノーを突きつける地方自治体が続出している。先陣を切ったのは松沢成文知事率いる神奈川県である。昨年12月に、松沢知事は片山善博総務相に、地方財政法に基づく意見書を提出した。神奈川県ホームページ上には、「政府の暴挙を黙って見過ごすと、子ども手当の地方負担が恒久化されるだけではなく、第2、第3の子ども手当が出現し、地方は国の奴隷と成り下がってしまう」と攻撃的な文書を掲載した。
神奈川県下では、40以上の市町村が拒否の態度を決めている。なかでも強硬派は自治省OBの阿部孝夫川崎市長。民主党は地域主権と強調しながら地方を無視しているとして、訴訟も辞さない構えだ。
1月28日には群馬県で、県と24市町村が、子ども手当の地方負担分を拒否する方針を表明した。