ITRが実施した「IT投資動向調査2017」によると、2016年度は、国内企業の4分の1以上がIT予算を増額させるなど順調な拡大傾向を示した。また、製品/サービス分野では、IoTやAIといった新技術に対する投資意欲も大幅な上昇が確認された。
3年振りの上昇度となった
2016年度のIT予算
ITRは、国内企業におけるIT投資動向の包括的な把握を目的としたアンケート調査を2001年より毎年実施しており、2016年8~9月に実施した今回は通算で16回目を数える。ITRの顧客企業やWebアンケートの独自パネル会員のうち、国内企業のIT投資の意思決定に関わる役職者を対象にアンケートを依頼し、過去最高となる2685件の有効回答を得た。
まずは、IT予算額の増減傾向からみてみよう。2016年度の実績は、前年度と比べて予算を増額したとする企業(「20%以上の増加」「10~20%未満の増加」「10%未満の増加」の合計)の割合が28.5%と全体の4分の1を超え、前年度の調査結果(21.4%)を大きく上回った。一方で、前年度より減額したとする企業(「20%以上の減少」「10~20%未満の減少」「10%未満の減少」の合計)の割合は前年度から若干上昇したものの、引き続き1桁台の低水準にとどまった(9.7%)。
ちなみに、IT予算を増額した企業が4分の1を超えたのは、“アベノミクス効果”により景気回復への期待が大きく膨らんだ2013年度以来3年振りであり、2010年代に入ってから2度目のことである。この結果からは、国内企業が積極的にIT予算の確保に動いたことがうかがえる。
来る2017年度の見通しは、2016年度の実績と比べると、増額を見込む企業の割合がやや低下し、一方で減額を見込む企業がやや上昇しているが、「増額予定」の企業の割合は4分の1以上の水準を維持している。全体としては、2016年度同様にIT投資に対して積極的な姿勢で臨む企業が多いと見込まれる(図1)。
このIT予算の増減傾向を指数化したIT投資増減指数(20%以上の減少を-20、横ばいを0、10~20%未満の増加を+15などとして積み上げて指数化した値)の経年変化を見ると、2016年度の実績値は「2.10」となり、こちらも2013年度以来の2ポイント台となった。2017年度の予想値は「1.73」で、2016年度の実績値は下回ると見られるが、予想値だけで見れば、リーマンショックによってIT投資が大きく落ち込んだ2000年代終盤以降で最も高い値である(図2)。