そして、その掲載先がダイヤモンド・オンラインのような伝統的なメディアではなく、高いIT力を持った企業のメディアであった場合、SEO能力の違いが出て、IT企業のキュレーションメディアの記事の方がPVを集めることができるだろう。結果、私の記事よりも読まれることになる。

 ここが既存のメディアや伝統を重んじるジャーナリストには許せない、キュレーションメディアの「闇」である。取材もしない「後追い記事」の方が読まれる、その上その内容に責任を負わないメディアの方が儲かる――。そんなことがまかり通るようであればメディアに未来はない、という怒りだ。

 しかし、これまでは著作権法上、手の打ちようがなかった。ところが「医療」という法的に問題のある分野でDeNAが「ヘタを打った」。さらにキュレーションの過程で写真画像という、著作権を主張しやすいものがパクられている事例が多数あることを問題にすることができ、キュレーション記事の多くを閉鎖に持って行くことが、今回初めて達成できた。

 実際、キュレーションサイトの記事公開中止の動きは、他社へも波及している。大手ではヤフーの「TRILL」、サイバーエージェントの「Spotlight」、リクルートの「ギャザリー」などで、DeNAと同様の問題を抱えている可能性がある一部の記事を削除する対応が行われている。これらのサイトが問題にしたのが、画像のパクリである。

既存メディアはキュレーション
メディアに打ち勝てるのか?

 ただ、まだこの問題の本丸はほぼ無傷のままである。たとえば、日本企業のようにはコンプライアンスを気にしない、外国資本のキュレーションメディア最大手は、サイトを閉鎖する動きを見せていない。

 この企業、「今後は原著作権者の権利に配慮する」という新方針を表明しているが、グレーゾーンはある。一般論として、キュレーションメディアに対して著作権のクレームを行なうと、「あなたが原著作権者であることを証明しろ」と言ってくることが多い。配慮はすると言うだけで、実際にクレームをつけるとものすごい手間がかかる状況をつくって、勝ち逃げしようとしているように見えるケースもある。今回、日本の大手IT企業が軒並みキュレーションサイトの自粛に走った結果、最大手がさらに焼け太るのではないかということが危惧される。

 今回の騒動で、既存メディアはキュレーションメディアを殲滅できるのか。それとも日本のIT企業だけを討ち取った結果、最終的に外国資本にメディアの未来を支配されるのか。メディアに関わる筆者個人としては「最悪な未来が待っていないこと」を祈るのみである。