人間は、脳あってこその存在。人の行動、思考、感情、性格にみられる違いの数々は、すべて脳が決めているのです。「心の個性」それはすなわち「脳の個性」。私たちが日常で何気なく行なっていることはもちろん、「なぜだろう?」と思っている行動の中にも「脳」が大きく絡んでいることがあります。「脳」を知ることは、あなたの中にある「なぜ?」を知ることにもなるのです。この連載では、脳のトリビアともいえる意外な脳の姿を紹介していきます。

「文系=右脳」「理系=左脳」
で割り切れるか

 第1回でも書いたように、脳には左脳と右脳があり、それぞれ異なる役割を担っています。

 左脳は一般に「言語脳」と呼ばれ、言語機能をはじめ、声や音を認識する仕事を担当しています。この左脳は数字や記号に対しても強く、読み、書き、計算する能力に強みを発揮しています。このような論理的な思考を担当するのが左脳です。

 これに対し、右脳は空間認識の機能を担い、視覚的な情報をトータルに把握する仕事を担当しています。特に感性的な世界、たとえば音楽などの芸術の分野を担っています。

 では、文系と理系を左脳、右脳で区別することができるのでしょうか。

 結論から言えば、それはむずかしそうなのです。というのも、文系に近い言語機能は確かに左脳にありますが、一方で計算する機能も左脳にあり、これはあきらかに理系と考えられます。では、右脳は音楽などの感性的な世界だから文系かといえば、そうも言い切れないのです。

 人間の脳に、「文系の脳」と「理系の脳」という区別は存在しないのでしょうか。