今「がん」に関する情報があふれています。芸能人でもがんを公表する人がいるため、ある意味、よく聞く病気になりました。しかし、情報があふれているゆえに、本当に正しい情報はなんなのか……迷う人が多いのも事実です。
そこで、がん患者さんに日々接している現役の国立病院の内野三菜子医師が、がんの主治医に聞きにくいようなことや、知っておいたほうがいいことなどを解説した本『身近な人ががんになったときに役立つ知識76』を発売。この連載では、その本の中から気になるところを紹介していきます。
「がんセンター」とは
がんの診療に特化した病院
がん診療連携拠点病院とはまた別に、「国立がん研究センター」や「県立がんセンター」など、がん診療に特化している病院があります。
こういった病院は、数の少ない珍しい「希少がん」の治療法を研究したり、新しい薬の有効性や安全性を調べるための「治験(ちけん)」をしたりするのが主な目的になっています。
治験というのは、新しい薬を認可してもらうために、「治療を兼ねた試験」を行うことです。実際に患者さんに使ってもらい、その薬の効果や副作用などをデータとして集めるのです。
がんになると「専門病院に行きたい」と、わざわざ飛行機に乗って東京まで来られる患者さんもいますが、がんは長期にわたって病院へ通わなければなりません。
患者さんが比較的通いやすい「がん診療連携拠点病院」に対しては、国立がん研究センターや県立がんセンターからも、新しい治療法や薬に対する情報提供が随時行われています。
また、現在、がん診療連携拠点病院で活躍している医師は、がんセンター出身の人も多く、学会での意見交換や勉強会だけでなく個人レベルでの交流もあることが少なくありません。
抗がん剤治療や放射線治療を継続して行う場合、遠くにあるがん研究の専門病院に行くのは体力的にも大変ですし、交通費もかかって経済的な負担も増えることになります。