クルーズ船の光と影
闘う港の住民たち

「豪華客船タイタニック号の出航地」として知られる英国サウサンプトン港は、欧州有数の取扱量を誇る港だが、今年5月、『ザ・ガーディアン電子版』は近隣住民の高まる大気汚染への不満を次のように報じた。

「6780人の乗客と2100人の乗務員を載せた世界最大のクルーズ船が、イングランドに別れを告げた。サウサンプトン港の地元住民らは出航してくれてよかったと思っている。彼らはクルーズ産業の急成長と船体の巨大化につれ、クルーズ船が排出する大気汚染が年々ひどくなることに不満を募らせているのだ」

 近年はイタリア、スペイン、オーストラリアやハイチなどでも、地元住民や環境団体がクルーズ船の寄港に対する反対の声を上げている。

 ちなみに、世界的な環境団体フレンド・オブ・アースの調査によれば、1週間の航海で「21万ガロン(約96.6万リットル)の屎尿と100万ガロン(約460万リットル)の汚水が出る」という。また、大型船ともなると「1日当たり150トンの燃料を燃焼させ、排出される硫黄酸化物は車数百台以上に相当する」との報告もある。

クルーズ船の寄港誘致を経済効果だけで語ってはいけない横浜港に停泊中の大型クルーズ船

 日本も汚染とは無縁ではない。クルーズ船の寄港では高い実績のある横浜港では、たびたび市民からの苦情が舞い込んでいる。港湾関係者は次のように明かす。

「停泊中のクルーズ船が黒い煙を出していることに対して、市民からクレームを受けたこともある。こうしたこともあり、横浜市では岸壁に発電所を設け、ここから電気を供給することで重油の燃焼を減らす計画を検討したが、結果として費用負担の大きさから、現在はペンディングになってしまっている」

 船舶がもたらす環境汚染は、そこへの規制が存在するとはいえ、まだまだ課題は多いのが現状なのだ。