雑誌の広告部というのは、取引先の広告代理店やメーカーに打ち合わせに行ったり、見本誌といわれる雑誌を届けたりするのが仕事である。スタジオでの撮影立会いも立ちっぱなしだ。モデルやスタッフが仕事しているなかで、広告担当の若い自分だけ椅子に座ったりできない。撮影は徹夜で行われることもある。こんな腰の不安をかかえて仕事が続けていけるのか自信がなかった。

 しかし、連日続く撮影の立ち会いに出ないわけにはいかない。痛みが強いときは、自腹でタクシーを使って移動することで会社を休まずに済んだ。激痛がはしってから10日が経った頃には、椅子から立ち上がるときだけ気をつけるようにしていれば、歩けるほどになっていた。

自分の結婚式で2度目の激痛が…
整体などを試すも根本的な解決にならず

 Vさんには学生時代から交際しているサークルの後輩の女性がいた。お互い実家暮らしという気楽さも手伝い、結婚のタイミングを逸していた。年号が平成に変わり世の中がバブル景気で浮かれるなか、友人がレストランウェディングのサロンを始めたのをきっかけに結婚式を挙げることにした。

 結婚式はなるべく派手な演出を避け、家族と親しい友人だけの食事会にしたいとオーダーした。司会も立てず、ケーキカットもないアットホームな会にしたかった。

 しかし結婚式当日を迎え、挨拶をしようと立ち上がったときだった。2回目の激痛が腰を襲ったのだ。痛む腰を我慢し、なんとか二次会を終えて、翌日病院に急いだ。Vさんの状態では、「長い飛行時間に耐えられないだろう」という医師の判断により新婚旅行はキャンセルになった。会社から貰った1週間の休暇は、痛む腰をさすりながら新居でほとんど寝て過ごした。

 その頃、「腰にいい」と言われれば、整体やマッサージ、鍼灸などいろいろと行った。サプリメントも試した。それらは、確かに施術を受けているときは気持ちよかったが、どれも根本的な解決にはならなかった。運動不足とわかっていても平日は終電まで、週末も休日出勤をしているVさんにとって、歩く時間をとることもままならなかった。

念願の編集長に就任
その頃から腰痛による不眠が強くなる

 ずっと広告畑を歩んできたVさんだったが、40代で念願の編集部へ異動、そして編集長に就任した。編集の仕事は思いのほか自分に向いていた。読者の興味はどこにあるのかを考えるのが楽しかった。編集長の仕事はとても朝が早い。夜遅くまで働く編集部員に代わり、午前中にかかってくる印刷所や読者からの問い合わせの電話に出るのも仕事だからだ。