人手不足解消のための
「裏口入学」の門戸を広げただけ?

 技能実習生制度は19993年に創設された。途上国への技術移転を目的に実習生を受け入れる制度。金属プレス工、建築大工、漁船漁業、畜産など74の指定職種で、昨年6月末時点で約21万人が働いている。

 介護は「日本が特に優れている業種とは言えない」として、含めていなかったが、今回新たに加えた。

 同制度は、残業代など賃金の不払いや過酷な労働実態などの問題があり、それによる失踪や労災事故も起き、抜本的な見直しが指摘されてきた。新法では、新たに「外国人技能実習機構」を設立し、実習先の実習計画遵守や実習生の人権侵害を防ぐことにした。本部と13カ所の地方事務所を設け、約330人の職員を揃える。

 実習が4年目に入る時に、転職を認めることとし、働きやすい環境作りにも腐心した。ただ、関係者からは改善を求められていることはまだ多い。

 相手国の送り出し機関が高額の手数料を実習生から集めていたり、国内の受け入れ窓口となる監理団体が実習先から毎月数万円の監理費を徴収し、それが賃金抑制につながっている、ともいわれる。送り出し機関への指導・監督の強化を促すための相手国との協定締結は、法律の付帯事項に記されたが、努力義務に止まった。

 そして、介護事業者にとって最大の懸案は、実習生が労働者でないことだ。つまり通常の職員として、介護保険法で定められた人員配置基準の人数に含めることができない。特養や有料老人ホームでは、入居者に対する職員の比率は最低3対1とされており、グループホームの日中勤務者は、定員9人であれば3人以上の職員がいなければならない。

 実習生はこうした最低配置人員からはずれた「余剰職員」の扱いとなってしまう。働き手にはなっても、それに見合う介護保険による介護報酬が得られない。いわば、人件費は事業者からの持ち出し。それでいて、労働基準法や最低賃金法など労働関係法の順守を迫られる。経営者にとっては頭の痛いところだ。

 一方、経済連携協定(EPA)によって、ベトナムやフィリピン、インドネシアから介護福祉士の候補生として来日している職員は労働者とみなされる。従って、配置基準に含めている。

 EPAの来日者も当初は人員にカウントされなかったが、今では就労半年後か「N2」の日本語能力があれば基本人員の対象となる。とはいえ、EPAの来日者は8年間で約2800人、そのうち介護福祉士の資格を取得した勤務者は約310人に過ぎない。

 もともと関税協定のなかで登場した来日者で、厚労省も「人員不足対策とは全く異なる」としており、この先も本流とはならないだろう。

 ではなぜ、技能実習生は労働者ではないのか。国は「あくまで経済発展を担う人づくり、国際貢献が目的」と説明し、外交や経済問題と位置付けているからだ。歴代政権が「単純労働者の在留は認めない」「移民は絶対受け入れない」という原則を掲げ続けていることも背景にある。

 そのため、実習生の滞在期間を3年に限定し、母国での同種業務の経験という「前職要件」を課している。

 ところが、現場の受け入れ先では「事業を維持させるために雇う」のであり、労働者として処遇している。なかには、海がない山国から来日し、カキの養殖場や漁業に従事している実習生もおり、祖国への技術移転の趣旨にそぐわないケースもある。

 つまり、国の「建前」と現場の「本音」が大きく乖離しているのは明白である。今回の法改正が人手不足解消のための「裏口入学」の門戸を広げたのは間違いない。「移民」と言う言葉を使わないで、巧妙に「裏口」を増やして、実質的には「安価な労働力の受け入れ」への舵を切った。