黒字体質への転換に成功した“細谷改革”。次は収益力を上げる番だが、容易にはいかない理由があった。徹底した財務分析と他行との比較で、りそなの課題を浮き彫りにする。(「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木崇久)
「おいおい、それは違うだろう」。りそな銀行の幹部は、社内誌の記事を読んで、そうつぶやいた。視線の先には、「りそなは成長が期待できる」と題したコラムがあった。
そこでは政府による生産年齢人口の推計が話題になっていた。幸いにも、りそなホールディングス(HD)が地盤とするエリアは全国平均よりも減少が少ない恵まれた市場。まだ開拓の余地が残っていると結ばれている。
確かに急な過疎化が進む地方の銀行よりは恵まれている。とはいえ、自らの地盤でも人口が減っていくのに、「成長が期待できると説くのはいかがなものか」と、りそな銀幹部は首を傾げる。
現にりそなHD傘下3行(りそな銀、埼玉りそな銀行、近畿大阪銀行)合算は伸び悩んでいる。右の図は銀行の本業の利益を示す、実質コア業務純益の推移だ。りそなHDが一気に不良債権処理をし、V字回復を果たしたのが2004年度。その翌年度を100として推移を追い、メガバンクや地方銀行と比較してみた。
どこも苦戦はしているが、なかでもりそな3行の落ち込みが最も激しい。この4年で3割以上減っているのだ。額でみても09年度は2449億円と、三菱東京UFJ銀行の3分の1に満たない。
さらに踏み込んで苦戦の原因を探ると、本業中の本業が不振という危機的状況が明らかになる。