不動産業者の節税アドバイスは
「違法」という、元も子もない話

 消費者にとって、こうした「タワマン節税」を取り巻く環境の変化を心得ておくことは重要だが、もっと重要なのは、このような状況にもかかわらず、タワマン節税を口実に様々な営業をしかけてくる不動産業者の「甘い言葉」に、やみくもに乗ってはいけないということである。

 不動産が「節税」の道具に用いられやすいという背景から、これまで不動産業者が税金の相談に乗ったり、申告書を代わりに書いてあげたり、コンサルティングをしたりするケースは、現実として少なからずあった。

 しかし、そもそも論としてご注意いただきたいのは、本来、税理士ではない立場の人が税金の相談を受けることは、税理士法第52条で固く禁じられているということ。タダだろうと有料だろうと、1回の相談であろうと、それはアウト。税理士免許を所有していない人から「節税」などという言葉が出てきたら、安易にそれを信じてはならない。

 15年1月1日以降、相続税の基礎控除が下がったため、相続税を払わなければならない対象者が増えた。そしてそれに比例して、怪しげな相続コンサルティングが跋扈している状況がある。宅建業者という立場がわかると警戒されるため、不動産コンサルタントや相続コンサルタントなどと名乗って近づいてくる輩までいる始末だ。

 特に悪質なケースで目立つのが、最初は高めの相続税を提示し、それがいくらまで安くなったかによって、成功報酬としてその何パーセントかに該当する金額を要求する商法である。そこに「相続税対策」などと理由をつけ、不動産業者が絡み、お客の所有不動産を売却させ、相続コンサルティングの成功報酬とは別に仲介手数料まで稼ぐこともあるようだ。そして、売却で得たお金で新しい物件を買わせ、資産の組み替えという名目でまた仲介手数料を稼ぐ。こうしていくうちに、お客の大切な資産を毀損してしまう例が後を絶たない。

「寄り添う」不動産屋の時代へ
消費者が肝に銘じるべきこと

山田寛英・パイロット会計事務所代表の著書『不動産屋にだまされるな 「家あまり」時代の売買戦略』 (中公新書ラクレ/税込864円)発売中

 以上のように、あくどい不動産業者が闊歩する状況を警告するため、そして税制や売買の考え方が大きく変わる中で現実に即した知識武装を消費者にしてもらうため、筆者は『不動産屋にだまされるな「家あまり」時代の売買戦略』(中公新書ラクレ)を上梓した。同書では、「これ以上不動産屋にだまされないためにどうすればいいか、時に不動産と戦えばいいか」というアドバイスと共に、トクする売買や税金のノウハウを可能な限り伝授している。

 冒頭でも述べたが、人口減少を迎えて「家」が過剰となる時代、おそらく消費者の目線とあくどい不動産屋の目線は大きく食い違っていくはずだ。そうした中、これまでのような「だます」ことで儲けようとする不動産屋の活躍の場が失われ、消費者に「寄り添う」不動産屋が飛躍していくことを心から筆者は期待している。

(パイロット会計事務所代表、公認会計士・税理士 山田寛英)