文字を読むのが苦手な若者にも、まんがならば伝わる、共感できる

「キーマンであるオネエのマリアを描くために、<br />新宿二丁目にも通ったんですよ」坪田信貴(つぼた・のぶたか)坪田塾 塾長。これまでに1300人以上の子どもたちを個別指導し、心理学を駆使した学習法により、多くの生徒の偏差値を短期間で急激に上げることで定評がある。「地頭が悪い子などいない。ただ、学習進度が遅れているだけ。なので、遅れた地点からやり直せば、低偏差値の子でも1~2年で有名大学、難関大学への合格は可能となる」という信念のもと、学生の学力の全体的な底上げを目指す。

坪田 以前、佐々木さんにうちの塾講師の研修をしていただいたときに、「伝え方のポイント」をまとめた名刺サイズのカードをいただきましたよね?あれをうちの社員全員に持ってもらい、生徒とのやり取りなどで迷った時に見てもらうようにしているんです。研修の時も、「ある生徒にこういうことを言われてこう返したけれど、ほかにどういう言い方があり得たのか?」「サプライズ法やギャップ法を使ったらどういう伝え方になったのか」などと皆で話し合い、伝え方のトレーニングをしています。

佐々木 そうなんですか!嬉しいです。

坪田 その結果、明らかに講師たちが成長しているんですよ。それぞれの日報を読んでいてもその成長が分かるほど。伝え方を意識し始めて、指導したら、スタートして4ヵ月程度の模擬試験で、いきなり偏差値が30とか伸びているんです。とんでもないことですよね。これ、生徒の頑張りもそうなのですが、講師の成長が大いに寄与しているんです。以前、佐々木さんにやっていただいた研修と、その後のトレーニングが活きているんだと、本当に実感しています。改めて、『伝え方が9割』はぜひ教科書になってほしいと、真剣に思っています。

佐々木 もし実現できるなら、嬉しいです。

坪田 でも、今の若い子たちって、「文字を読もうとしない」んですよ。例えば、参考書を持って「関係代名詞がわからない」と質問しに来る子どもがいるんだけど、その本の中に関係代名詞の説明がちゃんと書いてあるんです。その部分を指さして、「これ、読んだ?」と聞くと「読んでいません」と言う。いや、読もうよ!と(笑)。先ほど、佐々木さんに僕の本を褒めていただきましたけれど、こんなに分厚いと読んでくれない。親や学校の先生の文句ばかり言っている子に、「君もちょっと言い方を変えてみたら?」と『伝え方が9割』を渡すんですけれど、やっぱり読まない(苦笑)。

佐々木 (笑)。

坪田 どうしたら読んでくれるのだろう…とずっと考えていたら、『まんがでわかる伝え方が9割』が発売されて、これなら読んでくれる!と嬉しくなりました。文字が読みづらい、本を読むのが嫌だという人たちの導入本として、本当に役立ちます。これで、さらに生徒に勧めやすくなります。

佐々木 ありがとうございます。この『まんがでわかる~』には、伝え方の技術はもちろん盛り込みましたが、それだけでは嫌だなと。読んで面白いと思ってほしいから、ストーリーにこだわりました。僕はまんがが大好きなので、読みながら「次のページも読みたい!」と思えるような、大きなストーリーから、小さなセリフの面白さを交えながら、大切に作りたいと思ったんですよね。

坪田 読ませていただいて、初めに思ったのは、「これ、連ドラ化するな」と(笑)。連ドラ化を意識して作られたのかと思ったぐらい、ストーリー性が高い。人間関係がうまくいかないというシーンはあらゆる関係性においてあると思うのですが、全てのコミュニケーションの基本が言語で行われている以上、「伝え方」を知ってそれらが解消されれば、おそらくGDPすら変わると思うんですよね。だから、このまんががドラマ化されたら、より多くの人が伝え方の大切さを認識できるんじゃないかな。

佐々木 そう言っていただけて、嬉しいです。