主人公のエピソードをなぞることが、伝え方習得のワークになる
坪田 あと、なかなか企画が通らないという舞に、謎のオネエ・マリアが「タイトル、適当につけていない?」と指摘して、舞に考えさせる。最終的に、舞が一生懸命、ぎりぎりまで考え抜いて「可愛い女の男パンツ」というタイトルを考え出すまでに、ギャップ法やリピート法といった「強いコトバを作る技術」を使いながら試行錯誤させる。読むだけで、伝え方の技術を習得する、一つのワークになっているんですよね。
佐々木 ありがとうございます。さっき坪田さんがおっしゃったように、ビジネス書だと読めない、読みたくないという人はいらっしゃると思うんです。だけど、まんがのように一つのストーリーになっていれば読んでもいいかという人は、けっこう多いんじゃないかと。読み進めるうちに、自然に伝え方の技術が理解できるよう、考えました。
坪田 このまんがが、舞の成長物語になっているところも素晴らしいと思います。『ビリギャル』もそうですが、あまりできなかった子が、くじけそうになりながらも人とかかわったり助けられたりしながら、一つずつ課題を乗り越えていき、最後は大団円を迎えるという。これを読んだ人は、間違いなく前向きになれるし、今自分が抱えている問題や課題も乗り越えようという力が湧くんじゃないかと思います。…だから、ビジネス書と呼んでいいのか、まんがと呼ぶべきなのかわからない。小説ともいえるし、テクニック集でも、あるいはワーク集と言ってもいいかもしれない。あらゆる要素が含まれている1冊だと思うので、これもまた世界で売れるんじゃないですかね?(笑)
佐々木 恐れ入ります(笑)。
坪田 話は変わりますが、今の子どもたちって「将来何がしたい?」と聞いても答えられないんですよ。これといった「夢」がない。そして、その事実について大人は「夢がないなんてけしからん」とか、「子どもに夢を持たせられない世の中が悪い」などと言いがちなのですが、実際はそうではなくて、子どもは社会に出たことがないから想像ができないだけなんですね。ロサンゼルスに行ったことがない人に、「ロサンゼルスのどこに行きたい?」と聞くようなもので。それを証拠に、幼稚園児と高校生の「なりたい職業ランキング」って、ほとんど同じなんです。
佐々木 そうなんですか!?