この割合の高さに、先進国か途上国かとの相関はないが、「夫の所得の方が多い」のうちの「妻無収入」の割合を同時に見てみると先進国と途上国では違いがある。すなわち、例えば、途上国のトルコやフィリピンでは妻無収入が多いため結果として夫の所得の方が多くなっているのに対し、先進国のオーストリアや英国では妻無収入の夫婦はあまりないが、働いている妻の所得が相対的に少ないため(労働時間が少ないか賃金水準が低いかによると考えられる)夫の所得の方が多くなっているのである。

 日本の場合は、妻無収入が25.3%とやや多く、途上国と先進国の中間の水準となっているのが特色である。すなわち日本の夫婦の特徴は、妻は外で働かないという途上国的な性格とフレキシブルな家族生活を確保するためパートタイム労働など妻が働き方を工夫する先進国的な性格とが合わさっている点にあると考えられる。

 ロシア、チェコ、中国など、社会主義国、あるいは旧社会主義国では「夫の所得の方が多い」の割合が高い国はない。やはり国是として就業面での男女平等を実現しようとしてきた政策の影響は大きいといえる。この場合、妻無収入の割合は概して低い。

「夫の所得の方が多い」の割合が最も低かったのはポルトガルの53.9%であり、これにリトアニア、デンマークが続いていた。低い国としては旧社会主義国のほかに北欧諸国が目立つが同じ北欧諸国でもスウェーデンの割合はそう低くなく、ノルウェーはむしろ高い部類に属するので、北欧で特に所得面の男女平等が実現しているとは言えない。

 データを俯瞰すると、各国はすべて「夫の所得の方が多い」の割合が5割を上回っており、そうした意味で世界的に男性社会となっていることは疑い得ない。

「妻の所得の方が多い」という回答の割合が最も高いのは、インドの27.7%であり、これに米国の24.9%が続いている。米国では妻の方が稼ぎがよい夫婦が4分の1を上回っているという点は米国社会を理解する上で重要だろう。他方、日本の同割合は5.2%で世界最低である。日本は「同等」の割合も6.5%とメキシコを除くと世界最低である。

夫の稼ぎと家事の妻負担は正の相関

 日本における妻の家事分担割合の高さは、夫が稼いでいる割合が高いからと考える見方がある。経済学的には、時間当たり賃金が妻より夫が大きい場合、妻の家事を1単位増やして、夫の家事を減らし、夫の仕事を1単位増やした方が夫婦の総所得は増える勘定である。夫婦の家事分担割合と夫婦の所得差は関係していると考えてもおかしくはない。