あなたの街はどこまで安心・安全なのでしょうか? 東日本大震災は、従来の地震の常識を大きく覆しました。その甚大なる被害を経験した今こそ、わが街の防災力、家族と生活を守る術を再点検し、見つめ直さなければなりません。

「Part1 大震災の教訓」では、3万近くもの死者・行方不明者を出した東日本大震災の被災地において、間一髪で生を手繰り寄せた人々の軌跡を追います。多くの命を救ったのは、頑ななまでの防災へのこだわりでした。

 それに対して、直下型の大地震が想定される首都東京の防災対策はどうなっているのでしょう。その実情を探ります。緊急道路沿いの建物の耐震化など、問題は山積しています。

「Part2 大震災リスク」では、札幌、首都圏、静岡、名古屋、関西、広島、福岡とい
った主要都市を中心に、地震動、津波、液状化のリスクを再点検します。津波災害とは無縁と思われがちな大阪の津波リスク、内陸の住宅地の液状化リスクなど、地震災害が全国のどこでも起こり得る。ところが、その対策はかなり後手に回っている現実があります。

「Part3 安全・安心の街」では、全国の人口20万人以上の市区を対象に実施したアンケートを基に、本邦初・主要都市(全国122市区)の防災力ランキングを作成しまし
た。あなたの街の防災力をチェックするポイントは独自力、連携力、ハード防災力、ソフト防災力、住民支援力、ソフト防災力の5つです。

「Part4 街の復興」では、復興に向けて歩み出す東日本大震災の被災地はもちろん、他の自治体も学んでおくべき過去の教訓、まちづくりの手本を見ていきます。多くの街で浮き彫りになるのは耐震化などのハード防災の立ち遅れです。かなりお寒い
のが実情です。

 ただし、そもそもハードによる防災には限度があります。100%安全というのはあり得ません。それを補うのは、防災への意識やコミュニティの結束といったソフトの部分です。ところが、こうしたソフト面の防災対策においても、のど元過ぎれば……と形骸化の罠にはまってしまいがちです。防災の敵は慢心、油断なのです。

 家族と生活を守り抜くために、本特集「震災に強い街」をぜひ手にとっていただければと思います。

(『週刊ダイヤモンド』副編集長 小栗正嗣)