ときどき私のブログに、成功した方から報告メッセージをいただきますが、成功している人は、自分なりにどうしたらうまくいくのかを考え続けている人だと感じます。
逆に失敗しているのは、「この銘柄が昇格候補だ」のような雑誌の記事に踊らされて、ほかの要因を自分で調べずに買っているという人ではないでしょうか。
このようなことをしっかり意識して私が投資をしていた会社に、九州リース(8596)、第一交通産業(9035)、南陽(7417)などがあります。
福岡証券取引所に上場していたころの、かなり早い段階で先回り買いをして成功した事例です。
優待面、資産面、収益面で魅力はあるか?
また、昇格だけを見るのではなく、優待面、資産面、収益面のいずれかで魅力があるかどうかを見ることも重要です。
私の事例では、メディアスHD(3154)やエイチワン(5989)など、先回りには少々遅れたものの、昇格発表が近そうで、業績の上方修正も見込まれる割安銘柄に投資して、昇格発表時には大幅高となり、利益をあげることができたというのがありました。
優待面、資産面、収益面のいずれかで魅力的な銘柄を探す――。
今回出版した書籍、『運、タイミング、テクニックに頼らない! 最強のファンダメンタル株式投資法』では、おもにこの点を深く掘り下げています
優待面、資産面、収益面では、どのような特徴があり、何に注目すればいいのか。財務諸表とのつながりで押さえておくべき点も、ピックアップしました。
一般的な株式投資の本とはちょっと違う視点からの考え方も紹介しています。
資本政策(増資や立会外分売など)と株価の関係について、詳しく書かれた本があまりないようなので、今回は徹底的にまとめてみました。
私が過去の投資経験の中で、ファンダメンタル面でもっと早く知っておけばよかった! と感じたものを解説し、初心者だけでなく中上級者にとってもたくさんの発見や、気付きがある本を目指したつもりです。
企業のファンダメンタル分析や、資本政策が株価へ与える影響を理解することで、より深く、投資先を知るきっかけになると思います。
「きっかけ」と書いているのは、「これを身につけさえすれば儲かる」などといった短期的な、安易な考え方に陥ってほしくないからです。安易な考え方の例が、「東証一部に昇格する銘柄を買えば儲かる」という単純な発想というわけです。
投資のベースとなる新たな知識に出会ったときは、現実の市場の中で、本当にその知識が正しいのかどうか、例外はあるのか、どんな時には通用しないのか、どうしたら自分の投資に生かせるのかを、本人が考え続けなければなりません。
考える習慣を身につけることこそが、投資人生においては最強の財産になると思います。
今回の本のタイトルである『最強のファンダメンタル株式投資法』とは、そういう投資法が、たった1つあるわけではありません。基礎知識を幅広く身につけた上で経験を積み、自分自身で試行錯誤しながら考え続けられる人が、最強だということなのです。
そして、自分自身で考えるためには、自分の中に判断基準となる軸を作らなければなりません。その主な軸が、優待面、資産面、収益面です。
次回は、このうち資産面と収益面のお話をしてみたいと思います。