「ちょうど不登校が、どの学校でも顕在化してきた頃でした。不登校が、社会問題になりつつあったんです。私はその頃、彼らのかなりの数を学校復帰させるお節介焼きでした。次男も水産高校に入りたいといっていたのに、進学校に入れてしまったんです。いい大学に入って、いい就職口を見つけることが、幸せにつながるという、学歴社会の中にいたんですね。努力すれば報われるんじゃないかと思っていたんです」

 藤田氏は、自らが住む宮古市で親の会を結成。盛岡市で、不登校についての講演会を開いたところ、150人もの参加者が集まった。講演後、参加者たちに感想を聞くと、かなりの反響だったことがわかった。

 以来、各地で父母会が結成されていった。「その頃はまだ元気だったから」と笑う藤田氏は、教師を続けながら、そんな各地を飛び回ったという。

 現在は、盛岡や花巻、北上など、県内の12地区で、それぞれの父母会が独自に活動を続けている。

地域性の強い土地だからこそ
家族は孤立し、母親は追い詰められる

 しかし、民生委員も務める藤田氏は、こう難しさを口にする。

「人口の少ない市町村は、やはり地域性が強い。とくに、宮古など三陸沿岸に行くと、表に出られないでいる親たちが数多くいます。とくに、引きこもりについては、民生委員の人たちが、どこの地域のどこの家にいるということをかなり把握しています。しかし、講演などに行くと、引きこもりの人たちを引き出すな、変なお節介はやめてもらいたい。やれるのは、親の話を聞いてやることだといわれるんですね」

 実際、戸別訪問をしても、プライバシーの問題もあって、なかなか外に明かそうとしない。周囲が知り合いばかりという、そんな地域性の壁もあるという。

 元中学校の保健体育科教師で、同広場の理事を務める中村信之氏は、こういう。