【POINT 1】ベネフィット
あなたが望む状態に変えるものとは?

 商品・サービスにお金を出してもらうための、一番の前提条件は「それがベネフィットを持つかどうか」です。ベネフィットがあるものでなければ、お客さんにお金を払ってもらうことはできません。

 このベネフィットという言葉は、日本語で「便益」とか「利便性」と訳されることが多いです。ただ、これでは結局どういうことなのかよくわかりません。なので、ぼくは別の定義をしています。

 ぼくの“ベネフィット”の定義は、

Aだった人を、本人が望んでいるBにさせること」です。

 Aの状態だった人を、望んでいるBの状態にすることが「ベネフィット」です。つまり、「ベネフィット」とは、変化(A→Bの変化)のことなのです。

 そのため、どんなに便利に使えても、いくらデザインが良くても、いくら性能が良くても、その人が望んでいる「B」の状態に連れて行けないのであれば、それはベネフィットを持ちません。

 その商品を買ったら、そのサービスを受けたら、その本を読んだら、「今の私が、“なりたかった私”になれるかも!」「なりたかった気分になれるかも!」と思えば、そのコンテンツはベネフィットを持ちます。逆に、いくら質が良くても、いくら安くても、相手が望む変化を提供できなければ、「ベネフィット」はありません。

変化こそがベネフィット」という理解をしているだけで、コンテンツの打ち出し方が大きく変わります。

 ここ数年流行っているライザップのテレビCMは、とてもわかりやすくベネフィットを表現していますね。ライザップに通うと、“ぜい肉たっぷりの身体”が“引き締まったいい身体”になるということが一目瞭然です。

 CMで明言されているわけではありませんが、「今のあなたが、望んでいる体型を手に入れられます」というメッセージを明確に発信しています。だからあれほどまでに注目を集めているのです。

 これがベネフィットです。「Aだったあなたが、(あなたが望んでいる)Bになる」。これが売れるコンテンツに欠かせないメッセージなのです。

 先ほど、NG例として「主語が自分になっていると売れない」と紹介しました。多くのスポーツクラブが、「自分」を主語にした広告、ポスターを作っています。「当スポーツクラブはプール完備です! 最新のマシンを導入! 丁寧な接客です! きれいなスタジオで、駅から近いです!」などなど。スポーツクラブとしての質が問題なのではありません。ベネフィット(相手がどう変化するか)を伝えていないのが問題なのです。