ですが、私はこうも思っているのです。

「営業こそ、プロフェッショナルを目指さなければならない」

 顧客主義に徹することは、顧客のビジネスに価値を提供することであり、それは、顧客が抱えている問題のみならず、顧客が気づいていない問題を解決することで実現します。それには、「こんなサービスがほしい」「あんな機能はいらない」といった顧客ニーズをはじめ、顧客の内部情報、顧客の顧客(多くはエンドユーザー)に関する情報、ライバルや市場の動向などを把握しなければなりません。

 この点について、そもそも営業には、経営者や他部門が持ちえない決定的な強みがあります。そう、「顧客に最も近い存在」であることです。日々顧客と接しているがゆえ、営業はさまざまな情報を収集できる立場にいます。ところが残念ながら、この強みを本当に理解し発揮させているリーダーはもとより、このことを自覚して行動している営業担当者は少数派でしょう。

 たとえば、ある営業専門のコンサルティング会社が実施した調査によれば、営業部門は勉強不足であるということが明らかになっています。企業200社に対して、営業担当者に望むことについて尋ねたところ、「専門知識と問題解決力」が第1位、第2位は「顧客企業が属する業界に関する知識」だったのです。

 さらに、このコンサルティング会社は、これら200社に出入りしているベンダーの営業マネジャー120人にもインタビューを試み、「あなたの顧客は営業に何を求めているか」について聞いてみました。すると、第1位は「社交性とコミュニケーション」で、顧客が最も望んでいる「専門知識と問題解決力」は第3位、「顧客企業が属する業界に関する知識」は第5位でした。このギャップについて、あなたはどう思われますか。