『現役東大生が教える「ゲーム式」暗記術』(ダイヤモンド社)の著者・西岡壱誠氏と『現役東大生が伝えたい やってはいけない勉強法』(学研プラス)の著者・綱島将人氏の現役東大生対談が実現。二人ともに著書を通じて、学習に悩む中高生や資格試験などに臨んでいる社会人に伝えたいことがあったといいます。
今回の対談テーマは、「東大を目指した理由と、どう受かったのか」。今後、適切な勉強時間や豊富な勉強法についてご紹介いただく、全5回のスペシャル対談の第1弾をお届けします!
誰もが東大を目指す環境 VS
東大を目指すと馬鹿にされる環境
――同時期に現役東大生として著書を刊行したお二人ですが、西岡さんと綱島さんは、どのくらいの時期から東大を目指すようになったのですか。
綱島 私は高校1年生の秋からです。県内の進学校に通っていたので、学年の4分の1ほどが東大を目指していました。先生も「とりあえず東大志望にしておけ」というスタンス。周囲の仲の良い友達も多くが東大を目指していたので、「負けたくない」という思いからどんどん成績を上げていきました。
東京大学2年生。1996年生まれ。東大輩出者ゼロの無名校でゲームにハマり、落ちこぼれ、学年ビリに。偏差値35の絶望的状況から一念発起して東大を目指すも、現役・一浪と、2年連続で、箸にも棒にもかからず不合格。崖っぷちの状況で「ゲーム式暗記術」を開発し、みるみるうちに偏差値が向上。東大模試第4位になり、奇跡の東大合格をはたす。現在は、かつての自分と同じような崖っぷちの受験生に、家庭教師として勉強を教えている
西岡 私が東大を意識したのは、中学校3年生の頃です。中高と私立学校に通っていましたが、東大合格実績はゼロという学校でした。しかも、私はそんな学校の中で、成績が50位以下でした。理由はわかりませんが、こんな私に当時の担任の先生が「東大に行って自分の世界を変えてみたらいいんじゃないか」と言ったのです。そこで、頑張って成績を上げようと、漠然と思うようになったのです。
しかし、選抜クラスでも東大を目指している子がいないのに、その選抜クラスにすら入ることができなかった自分が東大を目指すのは、周囲の人から馬鹿にされましたね。逆境にかえって燃えましたが。
東大に合格するかどうかは“効率の差”
――東大に受かるために、勉強のやり方で変えたことはありますか。
綱島 ゴールが明確になったので、東大の過去問や東大で出題される問題を意識しつつ、学校の授業への集中度合いや復習の時間の使い方を変えていきました。大学の個別学力試験には、それぞれ配点の特徴があります。例えば、東大の場合は、英語が社会科目に比べて2倍配点があることすらあります。文系であろうと理系であろうと、合否を決めるのは英語と数学であることがデータをみると現れているのです。つまり、東大合格という目標達成のためには英語と数学に時間を割くべきだということがわかるわけです。
――効率的・効果的な勉強法を模索していたのですね。そのヒントはどこから得たのでしょうか。
綱島 より効率化していくために、ビジネス書や勉強法の書籍をたくさん読みました。ビジネス書には、「目標設定してKPI(重要目標達成指標)を決めてPDCA(Plan→Do→Check→Action)をまわす」ということが書かれていますよね。こうしたビジネスのフレームワークを受験勉強にも応用したのです。
西岡 非常におもしろいですね。振り返ると、私はまったく効率的な勉強ができていませんでした。単語帳ひとつとってもどうやって覚えてよいかわからない。1~100まで丸暗記して、覚えた気になって1ヵ月後確認するとまったく覚えていなかったといったことの繰り返しでした。高校時代という限られた時間内で勉強をするのであれば、効率性が何よりも大事でしょう。
――西岡さんはそんな非効率な勉強法からどうやって転換したのですか。
西岡 私は二浪後に、徹底的に勉強の方法を見直しました。見直したポイントは、「どれだけ時間をかけたかが受験に直結する」と思い込んでいた点です。具体的に言うと、「1週間に55時間以上勉強したら東大に受かる」という情報を信じて、ストップウォッチで自分の学習時間を計っていたのです。しかし、重要なのは時間だけでなく“質”ですよね。同じ時間勉強しても、質が伴わなければ効果は出ません。そして、質を上げるためには集中力をアップすることが必要なのです。
そこで考えたのが、「ゲーム式暗記術」でした。勉強をしている時には時間が経つのがゆっくりですが、テレビゲームをしているとあっという間に時間が過ぎます。浪人中に、東大に受かる人たちの勉強法を目の当たりにしていたので、そこで得た情報をゲーム式に落とし込んでみました。