受験生が見落としがちだがハイリターンな分野
――無駄な勉強法の反対に、“コストパフォーマンスの良い”勉強法はありますか。
大学受験学習塾STRUX主宰、株式会社ONER取締役、東京大学教養学部2年(2017年3月)。神奈川県立トップの進学校に進学するも、入学時の成績はビリから数えた方が早かった。平日5時間、休日13時間の勉強を経て、独自の逆算メソッドを完成させ、1年間で学年トップにのぼりつめる。高校2年生時は同高校の理系トップを維持するも、将来の夢から文転を決意。文系でも学年トップに位置した。その後、東京大学文科2類に現役合格。著書に『現役東大生が伝えたい やってはいけない勉強法』がある。
綱島 出題される大学とそうでない大学がありますが、リスニングはハイリターンだと思います。センター試験では、英語200点満点中リスニングが50点を占めます。東大もリスニングの配点は高い。長文読解などの学習には大変時間がかかりますが、リスニング力は隙間時間にも高めることができる分野なので効率的です。
西岡 リスニングが出題される大学の対策においては効果的ですね。私は長文を解くことを踏まえた上で、英単語を覚えることに大きなメリットを感じています。長文読解は、入試において配点が大きい分野です。長文の一部分に下線が引かれて和訳する問題や、単語にマークされ、「これと同じ意味の単語を選びなさい」といった問題が出されます。そのため、長文読解を前提とした単語学習は有効なのです。
綱島 数学では、「場合の数」と「確率」の単元は学習効率が高いと思います。数学は基本的に全ての分野がつながっている学問ですが、高校の範囲で「場合の数」と「確率」だけが独立しています。数学の積み上げができていない人も、この2単元を抑えておくと入試問題で1問は取れる可能性が高いです。
西岡 一理ありますね。しかし、「二次関数」など数学の積み重ねの単元こそが教科の本丸です。そこを抑えずに、飛び道具的な部分だけを勉強すると厳しい結果になることもあります。時間をかけられるのであれば、数学の学習の積み重ねをきちんとしていくべきでしょう。
やる気が出ない、疲れていてやる気がない…
そんなときの勉強法
――受験生にとってはかなり実用的なお話になってきましたね。第3回の記事の最後に、すべての学習に共通した質問をさせてください。多くの人が、「勉強へのやる気が出ない」「疲れて勉強に身が入らない」という悩みを抱えています。お二人はそんな問題をどのように解決して、学習に打ち込んできたのですか。
綱島 常につきまとう問題ですよね。私自身も戦い続けています。具体的な方法としては2つあるでしょう。1つは、「この分野の勉強をすることで、他の受験生に比べてどれくらい有利になるのか」「点数をどれだけプラスで稼げるようになるのか」を具体的にイメージすることです。これにより、やりたくない気持ちよりも、やるべきだという気持ちを高めていくのです。
もう1つは、「大学に合格したら何をするか」を想像して、長期的な欲求を高めていくことです。「勉強をサボって眠りたいな」という思いは、短期的な欲求です。その短期的欲求を長期的欲求が上回るように、「大学に受かったらあのゼミに入って、興味のある本を徹底的に読もう」「大学では、このサークルに入って楽しく過ごそう」などディテールまでイメージすることで、短期的欲求よりも長期的な欲求を優位にし、勉強に向き合うパワーに変えていくのです。
西岡 合理的ですね! 自分が怠けてしまうことに悩んでいる人は、著書にも書きましたが「単語神経衰弱」や「英熟語ポーカー」などカードゲームと勉強を掛け合わせて、楽しく集中する方法がオススメです。自分の部屋へ行き、机に向かって、参考書を開いて、鉛筆を持つ……こうした準備をするだけでも面倒なもの。そこで、「いつの間にか勉強が始まっている」というくらい、とにかく学習のハードルを下げてしまうのです。いかにやる気が出なくても勉強をすることができるようにするかがポイントです。
――効率的・効果的な勉強時間の配分と勉強法を掛け合わせることで、受験勉強も資格試験のための学習も精度を高めていくことができるのですね。非常に参考になりました!