退職金に頼った老後プランは危険
「退職金があるからなんとかなる」と考えている人もいます。でもそんな人に限って、自分の会社の規程では退職金がいくらもらえるのか、正確に計算していなかったりもします。
そもそも退職金は法律上の支給義務があるわけではなく、実際に4分の1の企業は退職金制度がありません。退職時に「退職金があると思っていたのになかった」と気づいて青ざめる人もいます。また、いま退職金制度があったとしても、会社が倒産すれば、きちんと支払われなくなる可能性もあります。
また退職金が減っているというデータもあります。総務省の「就労条件総合調査」によれば、2003年から2013年の10年間で、大学卒の平均退職金は2612万円から2156万円へと約450万円も大幅に減っているのです。
老後の資金としては年金についても同様です。年金の受給額はこの10年で1割ほど減少しています。高齢化社会が急速に進み、それでも年金制度を維持していかなければならない状況にありますから、受給額はこれからも減っていくと考えるのが妥当でしょう。要するに、老後の資金を退職金や年金に頼ってしまうのは危険なのです。
多くの人は「自分がいくらの退職金がもらえるのか」「何歳からいくらの年金がもらえるか」も把握せず、退職金と年金で「なんとかなる」と思い込んでいます。ところが実際に老後になると、当てにしていた退職金が少なかったり、年金が思っていたよりももらえなかったり、といった事態に見舞われます。
家計は赤字になるし、赤字を穴埋めするための貯蓄もないということになれば、「老後破綻」は避けられません。この大きなリスクに気づいている人は意外と少ないのではないでしょうか。