生活保護の高齢者単身世帯と母子世帯に注目すると、高齢者世帯のエンゲル係数は2014年に31.0%となっており、2012年から2014年にかけての伸び率は4%。しかし母子世帯では、エンゲル係数は26.6%、しかも2.9%の減少となっている。

 エンゲル係数だけに注目する限り、生活保護母子世帯は他の生活保護世帯と異なる傾向を示している。しかも、2013年の生活保護基準引き下げによって貧しくなったのではなく、逆に「相対的に豊かになっている」と見ることも可能だ。このことをもって、「母子家庭の生活保護費はまだ下げしろがあるはずだ」と主張することは不可能ではないだろう。

 しかし生活保護母子世帯においては、住居費、光熱水道費、家具および家事用品、交通通信費が増加しており、教養娯楽費・保健医療費は減少、被服および履物費は22%という大きな減少を示している。教育費は、2012年の2.6%が2014年の2.5%へと微減するに留まっている。私は、「食と衣服を犠牲にしても守らざるを得ない何かがある」と見るのが妥当だと思う。

 今、母子世帯が必死で守っているのは、親と子の社会参加の機会である交通通信費であり、子どもたちへの教育であろう。食材が値上がりし続ける中でエンゲル係数が増加しないということは、食の内実が貧困になっていくということである。それらは、取材を続けている生活保護母子世帯の暮らしぶりから私が感じている変化と一致する。生活保護母子世帯が何を犠牲にしても、社会参加や教育を守れなくなるとき、母親と子どもたちに何が起こっているのだろうか。想像もしたくない。

高齢単身者モデル世帯の追加で
どんな生活実態が反映されるのか?

 6月6日の基準部会で示された方針は、どれもこれも影響の重大さに青ざめるようなものだが、もう1点だけ「単身高齢者モデル世帯を追加する」という方針を紹介しておきたい。

 生活保護基準の決定は、1種類の「標準世帯」を設定して行われてきた。標準世帯の構成は「両親+子ども」だが、両親の年齢や子どもの年齢、人数は、世情を反映して改定されてきており、1950年の制度発足時の標準世帯「祖父(60代)+母(30代)+子ども3人(小学生・就学前・1歳)」は、1961年からは「父母(いずれも30代)+小学生男子+就学前女子」へと変更された。さらに1986年、「30代父+20代母+就学前女子」の「標準3人世帯」へと変更され、現在に至っている。