沖縄料理は戦後から東京を始め、全国各地で徐々に増えており、今や全国でもっともポピュラーな郷土料理のひとつだ。特に東京では今や数多くの沖縄料理店が展開され、いつでも、どこでも、沖縄料理が食べられる。
沖縄料理が、現代に受け入れられた理由はたくさんある。
まずは沖縄地方の島の人々の人柄そのものだろう。温和であり、楽しいことが大好き、お酒を飲む人も多い。沖縄料理店ではどの店でも楽しい雰囲気にあふれている感じをうけるのは沖縄に住む人の気質そのものだろう。
また、沖縄料理は、生食の習慣があまりなく、野菜を中心とした、圧倒的に庶民的な料理が多く、食べる人を選ばないところが挙げられる。
そして、南方貿易の拠点として、いろいろな食材が入ってきた歴史的背景も魅力の一つだ。戦後アメリカなど、いろいろな文化が入り混じって形成され(チャンプルー文化などとも言われる)、そうした中で生まれた『食』が、流通革命で多様化した現代の『食』に通じるところがあると言えるのではないだろうか。
「郷土料理」的には、沖縄料理として一括りで語られることが多いが、沖縄は沖縄諸島、宮古諸島、八重山諸島、大東諸島など実に49島の有人諸島からなり、島それぞれの文化があり、そして食がある。
今回訪れた店は、その中でも八重山諸島に位置し、八重山諸島の中心ともいえる石垣島出身のオーナー上地和彦さんが営む沖縄料理店『和海(なごみ)』である。また、石垣市出身で日本を代表するアコースティックバンドBEGINの上地等さんのお兄さんの店でもある。
沖縄の味の代表格といえば、
夏バテ解消効果も抜群の「ゴーヤチャンプル」
最初に食べたのは、沖縄料理といえば誰もが思い浮かべるゴーヤチャンプル。チャンプル(チャンプルー)は沖縄の言葉で「混ぜこぜにした」といった意味をもち、豆腐や野菜を一緒に炒めた、素朴な家庭の味である。
チャンプルと呼ばれる料理はたくさんのバリエーションがあり、車麩をつかった、フーチャンプル、青いパパイヤをつかったパパヤーチャンプルー、素麺を使ったソーミンチャンプル、そして、最もポピュラーなゴーヤ(ニガウリ)を使ったゴーヤチャンプルなどいろいろだ。