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ITでシミュレーション! 労務コストのムダ徹底排除

シミュレーションしてみよう!
残業代リスク完全防備
【前篇】

数字で見る「定額残業代」制度の導入効果

矢島秀悟 [社会保険労務士]
【第1回】 2011年8月8日
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シミュレーションで賃金計算上の
不備を徹底排除

 定額残業代制度の導入にあたり、計算上の不備で最も多いのは、「定額残業代超過分の未払い」のケースです。

 たとえば、「営業手当は30時間相当分の時間外手当を含んでいる」といった表現で就業規則を作成した場合、残業が30時間を超過した際に、その超過分を支給しなければなりません。企業としては、これをどうにか抑えたいところです。

 そこで私どもでは、計算上の不備から生じるリスクを一切なくすため、自社で開発したITツール「定額残業対策シミュレーション」を駆使して対策案を提示しています。

【図】 拡大画像表示

 シミュレーション作成に必要な情報は各社員の「賃金情報」「労働時間情報」です。具体的には賃金台帳、出勤簿、労働日カレンダーなどを基に作成します。まず、シミュレーション入力画面に社員別の残業時間と賃金、そして月間所定労働時間を入力します。これらの情報を入力すると、社員人数の多寡に関わらず瞬時に提案資料が完成します。

 出力される資料は、右上ののような支給額の構成図です。これによって定額残業制導入のイメージや効果を説明します。

   このケースでは、「固定残業代」を設定して残業代の単価を下げていきます。固定部分5万円は、今まで支給していた役職手当、職能手当など諸手当の金額の合計であり、名称を変更せず「定額残業代」として残業代の意味を持たせます。

 現状(図中いちばん左のチャート)は、賃金総額である30万円しか支払わない体系ですが、定額残業代制度を導入することで基本給を25万円に、残業代に相当する金額を固定で5万円とし、計算上は25時間分の残業代をあらかじめ支給しておく仕組みをつくります(図中中央のチャート)。

 仮に現状での残業代単価を算出するならば、30万円(賃金の総額)÷160時間(仮の1ヵ月所定労働時間)で1時間あたりの賃金を算出し、それに1.25倍の割増率を乗じることで、1時間あたり約2344円と計算されます。

  これが定額残業代制度の導入によって、残業代算出の対象賃金は基本給だけになりましたから、残業代単価は、25万円÷160時間×1.25倍=約1953円となります。つまり、残業時間が25時間を超過した場合は1時間あたり1953円を支払えばよいことになります。

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矢島秀悟
[社会保険労務士]

保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士。労働保険、社会保険に関する相談や就業規則作成・監督署是正勧告対応など労務相談を数多く手掛ける。就業規則に関する執筆活動も行なっている。

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