共産主義革命→文化大革命→改革開放と社会のルールが激しく変化し、さらに現代化とほぼ同時にインターネットが普及した中国は、「明治維新と高度成長が同時に来た」といわれる混沌とした状態にある。深センはその実験場として、レガシーのないところに最新技術が普及することで、サイバーな社会を見ることができる。(チームラボMake部 高須正和)

深センでは自販機もカラオケボックスもIoT化している蓮花山公園から望む深センの夜景

 中国では、社会全体の大転換を目指した文化大革命が1976年まで行われていて、その次の鄧小平の段階になって計画経済から自由経済への大転換が行われた。

深センでは自販機もカラオケボックスもIoT化している上が2010年深セン、下が2010年東京の人口統計。深センは20代の人口が突出して多い
深セン人口統計:『広東省2010年人口普査資料』/東京人口統計:『日本の地域別将来推計人口(平成25年3月推計)』
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 清帝国の末期から考えると、封建制→共産主義計画経済→改革開放と、100年足らずの間に3回も方針が大逆転した。祖父と父と子でまるで違う「常識」を持ったことになる。

 さらに現代の中国では、そこにインターネット革命が押し寄せている。いわば、「明治維新と高度成長が同時に来た」という状態にある。それまでのレガシーがない分、ネット企業が続々と登場し、社会のインフラを置き換えている。それどころか、「インターネットをベースにした新しい社会の仕組み」を世界で最初に普及させつつあるのが中国なのである。

 とりわけ、第1回(人類史上最速で成長する都市「深セン」で何が起きているのか)で述べた通り、人口1400万人を超える大都市であるにもかかわらず65歳以上の高齢者が2%もおらず、歴史が浅い分北京や上海に比べ既得権も少ない深センは、そうした新社会インフラの大規模な実験場になっていて、変わった製品やサービスを見かける機会が多い。