これまで問題が解決できなかったのは、問題が整理できていなかっただけなのです。別の言い方をすると、片方の「行動」や「要望」ばかりに囚われていて、もう一方の「要望」が見えていなかったので、解決策が見つからなかったのです。クラウドを書いて、対立の構造を見えるようにすると、子どもの視野を広げられるのです。
もちろん、2つの要望を眺めるだけでは解決策が見つからないこともあります。そんなときは2つ目の方法をお勧めします。
■〈行動の箱〉と〈要望の箱〉の斜めの関係に着目する
2つ目の方法として着目するのは、図表3に示した〈行動の箱〉と〈要望の箱〉の斜めの関係です。具体的には、DとC、D'とBの関係になります。
ここで、次のように問いかけます。
「Dをすると、Cをすることが難しいのはなぜだろう?」
「高等教育を授けると、社会経験を多く積むことが難しいのはなぜだろう?」
回答例としては、「大学に入る前も、入った後も、勉強で忙しいから」「学歴を積めば積むほど社会に出るのが遅くなるから」などが考えられます。
同じように、もう1つの斜めの関係でも問いかけをします。
「D'をすると、Bをすることが難しいのはなぜだろう?」
「高等教育を授けないと、職業の選択肢を広げることが難しいのはなぜだろう?」
回答例としては、「大学を卒業していないと、応募すらできない仕事が少なくないから」「高卒までの経験ではさまざまな職業を知る機会が少ないから」などが考えられます。
このようにして「なぜだろう?」の答えが書けたら、その中から「本当とは限らないと感じられるもの」を見つけだします。そして、「その逆の考え方もあるのではないか?」と試しに疑ってみるのです。