なぜ、のっけから「郷ひろみ」なの?

  どうして、郷ひろみなのか。
  それは、郷ひろみが「お茶の間のアイドル」だからです。
  ドラえもんやウルトラマンといった「キャラクターコンテンツ」の世界では、「30年続いた人気作は永遠に続く」といわれています。
  理由は、「親も、子どもも、一緒になって楽しめるから」です(ちなみに、郷ひろみのデビューは1972年)。

  しかも、彼の代表曲である『2億4千万の瞳』なら、「ジャパァ~ン!!!」と誰もが口ずさむことができるので、場の雰囲気をイッキに盛り上げることができます。
  若い人しか知らないヒットソングや、年配しか知らない懐メロ&演歌だと、場の雰囲気があたたまりにくい。
  1曲目は、「みんなが知っている曲」を選曲するのが気配りのコツです。

尾崎豊で大失敗をこいた私が、どうやってリベンジしたか

  私が某化粧品メーカー主催の忘年会(カラオケ大会)に参加したときのことです。
  大手広告代理店各社がしのぎを削って宴会芸を披露し、場を盛り上げていました。

  私も「1曲歌おう」と選曲を始めたのですが、「この曲もいいなぁ~、あの曲もいいなぁ~」とのんきに歌本を眺めているうちに、どんどん先を越されていく。
  ようやく曲をリクエストしたものの、私にマイクが渡されたのは、それから「1時間後」。私の前には10人が歌い終え、自慢のマイクパフォーマンスと美声で、クライアントを喜ばせていました。

  芸達者な彼らのあとに、何の芸もない私が歌ったところで、アピールできるわけがありません。
  しかも私が歌ったのは、尾崎豊の『I LOVE YOU』。「来年は、今年以上に景気のいい年にしよう!」とノリよく盛り上がっているのに、私だけがバラードを選曲。しっとりとした曲調が場の空気を盛り下げてしまったのです。
  あげく、クライアントからは「あれ? 後田さん、いつからいたの?」。
  3時間も同じカラオケBOXにいたのに、私は、誰の印象にも残っていませんでした。