「最近のデータによると、内定を獲得されている方は応募段階で平均20社受験しています。〇〇さんはまだ4社なのであと16社、1ヵ月以内に頑張って応募しましょう」
人材紹介会社に登録した人は、こうしたアドバイスを受けた経験があると思います。これは人材紹介会社が登録者の内定獲得という目標に対して、自社で保有しているデータに基づいて応募社数などのKPI(Key Performance Indicator;求人社数や面接件数など、具体的なプロセスを管理するための指標のこと)を設定している事情から、もっとたくさん応募しましょうと提案されるのです。
そうすると、とくに転職未経験者は「そうなのか、確かに新卒の時も50社応募したなあ」と考え、一気に20社も応募したりします。
しかし、こうした提案を真に受けてたくさんの会社に応募すると、非常に残念な事態を招くことがあります。
例えば、人材紹介コンサルタントの提案通り20社に応募した人が書類選考で13社落ち、一次面接で4社落ち、3社が進行中だとしましょう。この段階で当社にも相談に来られて面談したとします。当社の場合、転職希望者にはコンサルタントがじっくり面談したうえで、その人に合った企業を数社に絞って提案するスタイルを取っています。
「〇〇さんはこの会社がぴったりだと思いますよ。ただ、この職種では未経験なので応募書類に工夫が必要になりますね。この会社の人事担当役員と弊社のコンサルタントは懇意にしているので、志望動機をしっかり書いていただけたら面接してもらえるようにします」
「実はその会社、すでに応募して落ちているんです……。別の人材紹介会社から“応募しなさい”と勧められたために、内容をあまり調べないまま受けて落ちてしまったのですが、そんなに良い会社なら行ってみたいですね。何とかなりますか?」