不合格でも連絡ナシ、夜遅くに電話……
質の悪い紹介会社が淘汰されない理由

「この会社で経験を積めば、次はもっといい会社に“売れる”ようになりますから!」

 これはある転職希望者が、実際に某人材紹介会社の担当者から言われた言葉です。他人に向かって「売る」というひどい言葉を使っておきながら担当者本人にその自覚はまったくなく、この転職希望者は非常に驚いたそうです。

 ほかにも夜遅くに電話をかけてきて「この会社はあなたを欲しがっています!」と自分の希望とは全く異なる企業説明を延々としたり、応募企業の面接を受けて不合格だった場合、何も連絡せず放置したりと、人材紹介会社に対するさまざまなクレームが耳に入ってくる機会が増えました。

 要は転職希望者を人間ではなく「売り物」のようなスタンスで取り扱う人材紹介会社が増えているのです。なかには「この会社の内定は取りづらいんですよ」と、実態とは異なる説明をして入社を勧めるような会社もあります。

 こうした質の悪い人材紹介会社が目につくようになった背景の一つには、最近の人材紹介市場の活況があります。本来なら淘汰されるべき質が悪い会社が、業界の景気がよいために生き残っているのです。

サービスの質が低い会社が
業界全体の足を引っ張る

「対応がマニュアル通りで、臨機応変な対応ができない」
 「求人情報を紹介してくれるだけ。担当が募集企業の情報を何も知らない」
 「面談自体が全く無意味、相談にものってもらえなかった」

 こうしたサービスの質の低さに関するクレームも、よく耳にします。

 質の悪い人材紹介会社が存在し、実際に不愉快な思いをする転職希望者が出ている事実は、率直に言って人材紹介業界の恥です。ここで私がわざわざ身内の業界の恥をさらすのは、何とかしなければいけないという危機感を持っているからです。