銅相場が節目である6000ドルを回復する動きとなっている。銅相場は、昨年1月には1トン当たり4318ドルの安値に沈んでいた。同年終盤から最大の銅消費国である中国の景気持ち直し観測や、トランプ米政権のインフラ投資計画への期待を背景に急騰した。
続いて、二大鉱山での供給障害が懸念され、今年2月には6200ドル台に達した。米鉱業大手フリーポート・マクモランがインドネシアで操業する産銅量世界2位のグラスベルグ鉱山では、規制変更をめぐる同国政府との対立から、不可抗力条項の発動を余儀なくされ、銅精鉱の出荷が停止された。また、英豪系資源大手のBHPビリトンが権益の過半を保有する世界最大のチリのエスコンディーダ鉱山では、ストライキが発生し、やはり不可抗力条項が発動された。
その後、米経済政策に対する期待が後退したこと、中国では不動産部門の過熱抑制策などが採られて景気減速が懸念されたこと、二大鉱山での供給障害がいったん解消に向かったことから、5月上旬には、5400ドル台まで下落した。
しかし、7月にかけて、再び銅相場は上昇した。再上昇の背景には、為替市場で対ユーロを中心にドル安が進み、ドル建てで取引される銅の相場押し上げ要因になったことに加え、中国の銅需要の先行きについて安心感が出てきていることがある。