夜9時前に寝かせんでもよろしい

カヨ子 「子どもに早寝早起きのリズムをつけさせることが大事」などと言って、「夜8時とか9時には寝かせるように」って育児書には書いてありますからね。
   でも私は、早寝早起きのリズムなんて、幼稚園や小学校に行くようになったらイヤでも身につくと思うので、家庭にいるときは、それぞれの家庭の事情に合わせて臨機応変に対応したらええと思います。お父さんの帰りが9時やったら、無理にその前に寝かせんでも、お父さんと一緒に1時間遊んで、お風呂入って、11時にみんなで寝たっていいんです。お父さんだって、かわいい子どもとちょっとぐらい遊びたいでしょ。

 そう言っていただけると本当に救われます。子どもは、朝、私が家を出るときには寝ていて、会社から帰っても寝ているので、週末しか一緒に遊ぶ時がありませんから。

カヨ子 いくら父親でも、子どもと定期的に遊ばなかったら、なついてもくれません。そうすると、母親が子どもを父親に預けて、たまに出かけようと思っても、泣かれて困るわけです。そう言ったら、奥さんだって、無理に子どもを9時に寝かせようとはしないんと違いますか? 子どもが父親になつくのは、自分のためにもなるわけやしね。
   さっきも言ったように、いろんな人が子育てに関わるのが理想ですから、母親だけでなく、父親だって日々子どもと接したほうがいいんです。母の声がけと父の声がけでは、声も内容も違うでしょ。そういうのを子どもが早くから理解したほうがいいんです。だから育児のメインは母親であっても、父親やジジババも、なるべく赤ちゃんに接したほうがいい。そのためにも、母親は赤ちゃんを自分だけで囲いこまずに、みんながいろんな方法でかわいがってくれるよう、心を大きく持っていなければあかんっちゅうことです。

 

以降の連載は下記のとおりです。お楽しみに!

<第2回>9月8日(木)⇒「わざわざ離乳食はつくらん!」「卒乳は6か月でもええ!」いまこそ育児の呪縛を捨てよう
<第3回>9月12日(月)⇒「子育てほど面白いもんはない!」3歳までが勝負!? どうしたら、子どもの無限の可能性を伸ばせるか?
<最終回>9月15日(木)⇒「賢い子は“おんぶ”で育つんや」“生き抜く子”は、3歳までに決まる!?

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久保田カヨ子(くぼた・かよこ)
1932年、大阪生まれ。脳科学の権威である京都大学名誉教授・久保田競氏の妻で2児の母。約30年前に、日本における伝統的な母子相伝の育児法を見直しながら、自身がアメリカ在住時と日本で実践してきた出産・育児経験をもとに、夫・競氏の脳科学理論に裏づけされた独自の久保田式育児法〈クボタメソッド〉を確立。テレビなどで「脳科学おばあちゃん」として有名。77歳にして株式会社『脳研工房』を立ち上げ、現在代表取締役。 競氏との共著書に、『脳科学おばあちゃん久保田カヨ子先生の誕生から歩くまで 0~1才 脳を育むふれあい育児』(主婦の友社)、『すぐれた脳に育てる』(BL出版)、『育脳家族』(NTT出版)などがあるが、単著は79歳にして本書が初。ズバッとした物言いのなかに、温かく頼りがいのあるアドバイスが好評。全国からの講演依頼もあとをたたない。
【脳研工房ホームページ】 http://www.umanma.co.jp/