そういう僕自身も20代を通じて、ひたすら考えるということについて考えてきた。その結果、いくつかの「考えるコツ」というものを得たように思う。

僕が心がけている
思考の3つのコツ

 思考のコツを三つほど紹介しよう。

 一つ目は、「すべてのものは有機的なつながりを持っている」という前提に立つことである。

「世界は、ひとつである、違うように見えてすべては共通する」という前提にたって考えれば、自然に物事と物事の間の関係が見えてくる。すると物事の上位概念や下位概念、因果関係といったものが明らかになってくるのである。

二つ目は、「すべては、らせん的に生成・発展している」と考えることである。

 らせん的に世の中が発展しているという考えは、弁証法の基礎である。すべてがらせん的に発展するという前提に立てば、過去の事象・現在の状態から、次にどの方向に行くか、どういうレベルで上昇・進化するのかを洞察できる。これは未来を推察するための大きな手がかりになる。

三つ目は、ひたすら考えた後は、「考えるのを止める」ということである。

 自分自身の経験から究極的に「思考を完全に止めた後に、解が浮かび上がってくる」という状況があった。

 考えに考え、最後に思考を止めたときに、「答えが、自ずから浮かびあがってくる」のだ。それを考えると、本質解は、実は最初から「在る」のではないか、そしてそれに対する「気づき」を得ることの方が重要なのではないか、と思うようになった。

 僕自身はこのような思考の哲学をもって、いつも物事を考えるようにしている。こうした能力は、ちまたで流行っているロジカルシンキング(論理思考)とは異質のものだ。

 そもそも、思考とは、ものごとを抽象的にイメージで捉える力であり、直観や洞察に形を与える作業である。それを糊付けして人に伝えるツールが論理である。だから「論理思考」というものは実は存在しない。

 考えることは、人にとって辛い作業である。

 ということは、考えるという作業がある種の「意思」であることがわかる。
情報の流れに逆らい、自分の頭を使って前提や常識に立ち向かう意思こそが、今の時代に求められるリテラシーだ。

 ああ、考える意思と努力こそが、日々凝り固まりつづける固定観念への最後の抵抗力となり、世界を自由にする翼なのだなぁ。そんなことを考えながら僕は、ビジネス書のコーナーを後にした。

 そして、「anan」のセックス特集を手にとって颯爽とレジへと向かった。僕にはこっちの方が必要だ。

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