労働審判制度なら
弁護士に頼まなくても自分で争える!

「これまでサービス残業ばかりしてきたけど、計算してみたら軽く1000万円を超える。会社を辞めたので、この際、取り返したい」
「会社に請求しても一向にラチがあかない。こうなったら法的手段に訴えたい」

 私の事務所のホームページには、こうした相談を書き込んでくる人が数年前から多くなりました。そうした人たちに、最近は「法的手段に訴える覚悟なら労働審判を」と、労働審判のハードルの低さや簡便さをお伝えしています。

 そして実際に、多くの人が労働審判の申立てを行いました。申立てをした皆さんは、弁護士に頼まず自分で手続きを行い、自分で和解まで持ち込んでそれなりの成果を得ています。

 私は特定社会保険労務士として労働審判の本人申立て支援を行っています。ただし、労働審判手続きにおいて代理が認められるのは、原則として弁護士だけであり、特定社会保険労務士に代理は認められていないので、あくまでも後方支援です。

 しかし、弁護士を代理人にお願いするというのは、皆さんにとってまたハードルが高くなってしまうのではないでしょうか。

 労働紛争に強い弁護士を探すこともそう簡単ではないでしょう。さいわい見つかったとしても、案件によっては引き受けてくれるかどうかわかりません。弁護士は、報酬とのバランスで考えますから、あまり少額だとどうか……という点も実際問題としてはあることでしょう。

 私は、労働審判の申立てに代理人は必要ないと思っています。弁護士に頼まなくても十分に申立てはできますし、最後まで争えます。

 ただ、大事な局面でアドバイスを受けられる人は必要かもしれません。たとえば、労働紛争に詳しい社労士や経営コンサルタント、紛争を経験している実務家などです。代理人ではありませんので、弁護士に依頼するときのような大きな負担はかかりません。

 いちばん必要なのは、人に頼らず自分の力で争う強い気持ちです。強い気持ちと、確たる準備さえあれば、会社側の巧みな強弁や脅しまがいの主張にも揺らぐことなく戦えるのです。
 


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