安倍首相は、選挙後、来年の春闘を巡って「3%の賃上げ」を経済界に求めた。これが話題になっている。

 アベノミクスのもとで、賃金が上がっていないことを批判してきたマスコミの一部は、首相に先手を打たれたからだろうか、「やり過ぎだ」と首相を批判している。

 本コラムでは、金融政策で求めるべき失業率の下限を書いた(『日銀の「失業率の下限」に対する見方は正しいか』)。

 これには日銀でも関心があったらしく、問い合わせが来た。

 日銀は従来、「失業率の下限」を「3%台半ば」と主張してきたが、それが間違っていたこては、現実の数字がそれを既に下回っているから明らかだ。

 筆者の出した数字は、「2%台半ば」だが、日銀としてもあからさまに反論していないので、彼らが再計算しても、やはりその程度になるのだろうと思われる。

 実は、本コラムでは、GDPギャップからの別アプローチでも、失業率は2%台半ばが下限になっていることも示している(『安倍改造内閣が問われる「20兆円財政出動」で物価目標2%達成』)。

 こうしたことを踏まえると、これ以上、失業率を減らせない水準が、「2%台半ば」という数字は、かなりの図星だろうと思われるし、実際に、失業率がその数字に近くなると、その半年から1年後に賃金は上がり出すのだ。

 そのことも、本コラム(『安倍改造内閣が問われる「20兆円財政出動」で物価目標2%達成』)で示している。

 金融政策または財政政策によって有効需要をあと20~25兆円程度作れば、失業率が2%台半ばになって、賃金が上がり出す環境になっている。

 要するに、あと一歩なのだ。