これからのホテルマンは、フォーマルな英語だけではなく、状況やお客様に合わせて表現を変えていく必要があります。
そのためにすべきことは、「自分の感性」を磨くこと。
「この人には丁寧語を使ったほうがいいのか。それとも、少しラフに話しかけたほうが喜んでもらえるのか」を察知する感性を磨くのです。
英語を学ぶ際にも、同時に感性を磨くことが大事です。感性が働かなければ、いくら立派な道具(英語力)を持っていても、その力を十分に使いこなすことができません。
英語そのものが上達しても、相手の気持ちを察することができなければ、心の通う対話をすることはできません。ですから、「文法的に正しい英語を話す」こと以上に、「心に届く言葉」を見つけることが大事なのです。
語学の知識があるだけでは、
「会話の達人」にはなれない
「感性」の大切さは、日本語にも言えると思います。
国文学や国語学の教授が「友だちづくりの名人」「会話の達人」なのかと言えば、必ずしもそうとは限りません。
もちろん、国語学の教授であれば、難しい漢字を知っているでしょうし、日本語には詳しいはずです。でも、人との対話に必要な「感性」は、「知識」では補えません。
たとえ言語としての日本語の知識をたくさん持っていても、人に興味を持って相手に近づく感性が磨かれていなければ、相手の心に響く会話ができないのと同じです。
若い常連のランディ・スミス氏が、週末にジーンズとTシャツというラフな格好でリッツ・カールトンに現れたとします。
「Good afternoon, Mr. Smith? How are you, sir?」
(こんにちは、スミス様、ご機嫌いかがですか)
と礼儀正しく挨拶をすべきなのか、それとも、
「Hello, Randy. How's going, today?」
(やあ、ランディ。気分はいかがですか?)
と親しみをこめて挨拶をしたほうがいいのか。
それを見極めるのは、あなたのセンスであり、これまで培ってきた関係性であり、人間性であるということなのです。
明日以降金曜まで毎日連載!まだまだ続く「高野式イングリッシュ」をお楽しみに!
<第3回>11月16日(水)⇒いまだから明かす 「アングラバー」で学んだ“ちょっとアブナイ”英語
<第4回>11月17日(木)⇒私が地雷を踏んだ忘れられないフレーズ!「センターピンを外さない表現」はこうして身につける!
<最終回>11月18日(金)⇒「You とMe と、Eat Meat」でOK!(今日の夕食はステーキですよ)「生きた英語」はストリートで身につけよう!
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リッツ・カールトン本社で創業メンバーからクレドの薫陶を受け、94~2009年の間、日本支社長として、リッツ・カールトン大阪、リッツ・カールトン東京の開業をサポート。「Ritz-Carlton is nobody.」だった状態を日本でブランド化した立役者・高野登氏初の英語本!リッツ・カールトンの舞台裏英語から、日本人が踏みやすい地雷フレーズまで、英語を通じたおもてなしの真髄が満載。ぜひご一読ください。
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人とホスピタリティ研究所所長。前ザ・リッツ・カールトン・ホテル日本支社長。1953年長野県戸隠生まれ。ホテルスクール卒業後、単身アメリカに渡り、20年間、ヒルトン、プラザホテルなどでホテルマンとして活躍。90年にはリッツ・カールトンの創業メンバーとともに開業に尽力。94年以降、日本支社長として、大阪と東京の開業をサポート。日本にリッツ・カールトンブランドを根づかせる。日本全国から研修・講演依頼があとを絶たない。