字下げを表す「インデント」、その意外な由来とは?海と陸の支配者ポセイドンにまつわる英単語とは?(写真はイメージです) Photo:PIXTA

スマートフォンのデータ容量で気になる「ギガ(バイト)」。じつはこの「ギガ」はギリシャ神話が語源の言葉だと知っていましたか? 英語の語源にはラテン語由来のほかギリシャ語由来の語彙も多くあるといいます。清水建二さんの新刊『ギリシャ神話で読み解く英単語』(青春出版社)から、より深く豊かな英語の世界に接し、知れば知るほど英語の勉強が楽しくなるギリシャ神話の逸話を抜粋して紹介します。

大地の女神ガイアが語源のジオグラフィー

 古代ギリシアの叙事詩人ヘシオドスは『神統記』の中で、宇宙の起源について次のように述べている。「最初に、巨大な口を開けた淵として、秩序や形が存在しないカオス(Chaos)が生じた。このカオスから大地の女神ガイア(Gaia)が生まれ、ガイアから冥界(めいかい)の最奥部・奈落(ならく)の神タルタロス(Tartarus)と愛と欲望の神エロス(Eros)が生まれた」とある。

「カオス(Chaos)」は英語では「ケイアス」と発音し、意味は「無秩序、混沌」、形容詞はchaotic(ケイアティックと発音)。この単語は印欧祖語で「深淵、大きく口を開ける」という意味のghieh-に起源があり、chasm(亀裂)、gap(隙間)、gape(〈驚きで口を開けて〉あっけにとられて見る)、gasp(あえぐ)、yawn(あくびをする)などが同語源だ。

 カオスから生まれた大地の女神ガイア(Gaia)の語源は文字通り「大地」で、geography(地理学)、geometry(幾何学)、geology(地質学)が同系語だ。男性名のジョージ(George)も「大地を耕す人、農夫」に由来する。