9月に、雲南省の省都・昆明市と国境の町・瑞麗市、騰沖県を訪問した。3年ぶりの雲南訪問で、特に瑞麗と騰沖は初めてで、非常にいい収穫を得たと思う。
まず、昆明で雲南省社会科学院の研究者たちとの座談会に参加した。そのなかで人口移動などの研究をしている女性研究者たちの発言は、なかなか興味深かった。彼女たちの発言は次のようなものだった。
密出国防止から密入国防止へ
雲南省はミャンマー、ベトナム、ラオスと国境を接し、これらの国々と同じ民族出身の住民も多い。これらの国々に暮らしている親戚や知人も大勢いる。こうした地縁、血縁の関係で、昔から国境を越えた移動が頻繁だった。国民の出国が厳しく規制されていた時代は、人口移動に関する管理においては、雲南省は主に海外での移住や就労を狙った住民の密出国の防止に力を注いできた。しかし、近年はむしろ外国人の雲南省への密入国、非合法就労の防止と摘発に力を入れるようになったという。
こうした人口移動に見られる一種の逆流現象は、中国の凄まじい経済発展と所得向上によって起こったことだと理解できる。中国国内の男女出生比率のアンバランス問題も、こうした外国人の雲南省への密入国を煽っている。婚姻が絡んでくると、国境の省である雲南省の人口移動問題がさらに複雑さを増してくる。
外国人の雲南省への密入国や非合法就労は、言い換えれば、中国の労働力不足問題を浮き彫りにしていると理解していい。
中国に出稼ぎに来るミャンマー人
昆明をあとにした私は、徳宏タイ族チンプオ族自治州に属する国境の町・瑞麗市と保山市に属する騰沖県を訪れた。徳宏がタイ族とチンプオ族が多い自治州であるのに対して、保山は漢民族を中心とした地方都市で、蘭の産地として知られるそうだ。