ある電子系設備会社の上司と部下の会話

 私がコンサルティングに入った電子設備系の会社でも、最初は上司と部下とでこのような会話がなされていました。

  課長:「なぜサンプル品を持っていかないのか? 結局、持っていったのは10社程度だろう」
  営業:「反応がイマイチなんです」
  課長:「営業一人ひとりが、すべての取引先にサンプル品を配布するという方針を掲げたはずだ。君の場合は110社が対象だぞ」
  営業:「成果が出るかどうかわからないのに、やってられませんよ」
  課長:「じゃあ、どうして今期が始まる方針発表会のときに反対しなかった?」
  営業:「私は最初から疑問を感じていましたって」
  課長:「なんでいまさらそんなことを言うわけ? 方針発表会から4か月の間に一度でも相談に来たか?」
  営業:「いいです、もう。わかりましたよ。やればいいんでしょ。やれば」
  課長:「なんだその言い方? 会社の業績がこんなに落ち込んでるのに、意識が低すぎるぞ!」

 私が最初にこのクライアントさんへお伺いしたときに、課長の方々から言われたことは「意識改革」という四字熟語。
  私は「意識改革」というフレーズを聞くとうんざりします。このつかみどころのないぼやけた言い回しは何とかならないのでしょうか。

 「意識改革」って何なのでしょう? どうなったら「意識改革」と言うのでしょうか。

  課長:「あなたが支援に入ったら、まず部下の意識改革を徹底してお願いしたい」
  横山:「私は彼らの意識なんて変えませんよ」
  課長:「しかし、部下たちの意識が変わらなければ先には進みませんよ」
  横山:「そんなことは心配しなくても大丈夫です。意識改革なんて、あとからついてくるものです」
  課長:「じゃあ、あなたは何をするんですか?」
  横山:行動改革です。意識なんか変えなくたって、行動は変えられますよ」

 まさに高度情報化時代における副作用です。