「おんぶ作戦」と「おかみさんパワー」
高齢者が多い街を支える縁の下の力持ち

 ほぼ100mに1人の割合で自力脱出困難者が発生すると想定される課題に対しては、57組織93隊の「区民レスキュー隊」が控えている。

 荒川区は、建設業の事業所密度が中央、台東、千代田の各区に次いで高い。都心区では大手企業の事業所が多いが、荒川区は大部分が街の工務店。だから、隊員は身近にいる。

 阪神・淡路大震災の映像を見て、「自分たちで何かできないか」と思ったことが発端となった、区民の中からわき上がった取り組みだという。これこそ、地域が有するストックの力である。

 それでも課題は残る。30代後半~40代の割合が22位と低いこと、自立度が高いとは言っても、働きに盛り世代を中心に区内に住む就業者の6割近くは、区外に通勤していることなどだ。

 それなら、街に残る女性の出番だ。その端的な例が、消防団員に占める女性の割合が渋谷区に次いで高いことである。

 近年、急速に女性消防団員が増えている渋谷区は、企業消防団員の充実が想定される。これに対して荒川区は、まさに「おかみさんパワー」。この意識の高さもまた、歴史に裏づけられたストックの表われに他ならない。

荒川区――23区一の厳重注意エリアを見守る「おんぶ作戦」と「おかみさんパワー」

■荒川区の安心・安全を確認するデータ

1km2当たりの街灯数 806基/km2(7位) 1km2当たりの交番数 1.8ヵ所/km2(10位) 1km2当たりの消火栓数 188基/km2(4位) 不燃化率(建築面積ベース) 59.3%(15位) 道路率 16.2%(13位) 平均道路幅員 7.7m(16位)

一般社団法人東京23区研究所 池田利道、小口達也)