道路整備も観光予算

 それでも観光業界には、期待外れに終わるのではないかという懸念も根強い。

 まず、出国税の使い道があいまいなためだ。例えば、18年度の政府予算では、18年度中に見込まれる60億円の出国税収のうち、観光庁に振り分けられるのは35億円強となる見通しだ。残りは空港整備などに充てられる。つまり、観光という名目であれば、空港整備や道路整備にも広く使えるということだ。自然環境保全もこの範疇に入る。観光業界にはすでに「観光予算がゼネコンに回るだけ」と冷ややかな見方も出てきた。

 そもそも出国税は当初は観光促進税とも呼ばれており、関係者によれば、「ある程度柔軟な活用ができると、自民党の建設族にアピールしており、党内にも反対はなかった」もようだ。これまで観光予算は公共事業費を削って捻出してきたが、税収が伸び悩んでいる中、出国税に目を付けたのだ。

 観光庁が予算の使い道について、「外国人がストレスなく日本国内を旅行できる環境を整える」としていることも、観光業界には隔靴掻痒だ。外国人向けの多言語表示や、日本に呼び込むために海外で日本行きキャンペーンを行うことなどは歓迎しつつも、最大の懸念である人手不足対策が後回しにされるためだ。若年人口の減少で人手不足が顕在化しているが、特に地方の旅館では従業員を採用できずに営業日を短縮したり、売却や廃業に追い込まれたりするケースも多い。

「底辺までは回ってこない」という旅館の声もあり、今後の観光業界には損得が二極化しそうな気配がある。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 大坪稚子)