鮭西京焼き
【材料】/鮭 …3枚/白味噌… 50g/酒…大さじ1/みりん…大さじ1/砂糖…大さじ1
【作り方】①白味噌、酒、みりん、砂糖を混ぜて味噌床を作り、ポリ袋に入れる。そこに鮭の切り身を入れて味噌床をからめ、冷蔵庫で保存(2日目以降が食べごろ)。②味噌をぬぐい落とし、焦げやすいので弱めの火で両面を焼く。大根おろし、生姜の甘酢漬けなどを添える。

 鮭は昔から、捨てるところがないと言われている魚です。

 平安時代中期に、律令について記された「延喜式《えんぎしき》」に、越後の国から朝廷に納める税として鮭が献上されていたことが書かれているのですが、よく見ると品目が細かく分けられていることに驚きます。

 鮭、鮭子(さけこ)、内子鮭(こごもりざけ)、氷頭(ひず)、背腸(せわた)、鮭児(けいじ)、楚割鮭(すはやりざけ)と部位によってさまざまな呼び名があることから、産地で加工され、運ばれてきたことが伺えます。

 鮭子とは筋子、あるいはいくらのことで、内子鮭は一旦鮭の内臓を抜いて洗ってから筋子を腹に戻し、濃い塩水に漬けて干したもののようです。

 氷頭は鮭の頭の軟骨で、現在も北海道や東北地方では、なますにして食べられています。

 背腸は背骨の内側にある腎臓(メフン)を塩辛にしたもので、楚割鮭は鮭の身を薄く切って干した、現在でいう鮭とばのようなものです。

 平安時代からいくらが食べられていたとは意外です。

鮭子(いくら)醤油漬け
【材料】塩漬けいくら…100g/酒…大さじ1/みりん…大さじ1/醤油…大さじ1
【作り方】①酒とみりんは電子レンジに20~30秒かけ、醤油を入れて冷ます。②塩漬けいくらに1を入れてほぐし、冷蔵庫で保存する。1時間以降が食べごろ。ご飯にや山芋に乗せるなどしていただく。

 また、江戸時代初期の寛永20年(1643年)に刊行された『料理物語』という日常料理の参考書には、焼き物、なます、すし、はらら汁(いくらを使ったお吸い物。飲むと子が授かるとされた)、炒り焼き、なまひ、かまぼこと、鮭の調理法がたくさん記されています。

 とはいえ、江戸時代後期に塩鮭が大量に蝦夷地から運ばれるようになるまで、鮭は庶民が日常的に口にできる魚ではありませんでした。