多数の仏メディアで話題となった全仏ベストセラー!
世界22ヵ国で翻訳された猫に教わる人生指南書の日本語版『猫はためらわずにノンと言う』がこのたび遂に刊行された。
他人の目は気にせず、決して媚びず、欲しいものは欲しいと言い、プレッシャーに屈せず、エレガントで自信に満ち、ひとりでも平気……子猫の時に事故にあい、左前足を失くした猫ジギーが、そんなハンディキャップをものともせず、むしろ「それが何か?」と気にもかけずに振る舞う姿は、常に他人の目を気にして、何かに追い立てられ、せわしく動きまわっている人間たちに、自分らしく生きるために本当に必要なことは何かを伝える本書から、一部抜粋して紹介する。
猫を飼っている人、猫好きな人だけでなく、猫のように、そこにいるだけで自然と一目置かれる存在になりたい人にも役に立つ!
何気なく見ていた猫たちの日常の仕草には、猫だけが知る深い人生哲学が込められていた!明日から、猫を見る目が変わります。
いつも慎重な猫が大切にしているものとは?
(フランスのことわざ)
猫は蛮勇を振るったりしないし、不運な出来事にあえば必ずそれを教訓とする。
そして車でも物でも、自分の住環境に目新しいものが現れたら、長い間観察して細心の注意を払わなければ近づかない。
猫は無用な危険に身をさらすことはない。
新しいものは何でもにおいを嗅いで詳細に調べあげ、分析してみるのだ。
慎重ならば問題や争い、明らかな事故を避けることができる。
しかし人間は、直観を働かせる能力が劣っていたために、「燃えた薪は熱い」という知識を得るために、それを手にして火傷しなければならなかった……こういうふうに考えてみると面白い。猫なら、熱い灰の上を歩いている姿なんて想像できるだろうか。
傷んだ食べ物を知らずに食べて病気になったことがある人も多いだろう。しかし猫は、ちょっと乾燥しているだけで缶詰を食べなかったり、丁寧ににおいを嗅いだわけではないのに、あなたがあげたハムの脂身を残したりする。食べるものに対しても慎重なので、猫がお腹をこわす心配は少ないのだ。
また、人間は危険を恐れないことが多い。つまり無謀なので、人間の子には危険から身を守ることを一から教えなければならない。
誰が猫に、火は熱いとか水は溺れるとか吠えている犬には近づかないほうがいいとか教えたのだろう。誰が、走る大きな物は自動車で轢かれる可能性があると教えたのだろう。
猫は人間の子どもとは違い、直観で危険を察知することができる。
私たちは直観も勘もほとんど失ってしまった。
人間関係でも同じである。いったん事が起きてしまってから、「最初からコイツはこういう悪さをすると思っていたんだよ」なんてつぶやいた人も多いのではないだろうか。
直観でわかっていたのだ。
嫌な感じがしたのは、その人物の正体に原因があったのだが、だからといって自分の勘に従ったわけではなかった。私たち人間は、勘より「理性」を重んじようとしてしまう。
直観は裏切らない。勘に従ったほうが慎重になってより幸せに生きていけるはずなのに、残念なことである。
第一印象という直観はウソをつかない。
悪いことが起きないよう慎重になるために、原始的な勘をもう少し大事にしよう。
勘を信用して従えば、損はしない。
あれっ、と思ったら、
勘に従うこと。
それが間違いない。